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第5章 魔女の血族
その5
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顔をあげたわたしを見てにこっとするとロクは囁いた。
「おいしいだろう?」
「うん」
わたしは、ごくん、と飲み込むとロクを見つめた。
「これ、何?」
「ストローベルの実だ」
ロクは、もう一つわたしの口許へと差し出す。
「あ、あのっ!」
わたしは、慌ててロクの手を押しやる。
「じ、自分で食べますから!」
そのとき、ごほん、という咳払いがきこえた。
巻き毛の男の人が生暖かい目でわたしたちを見ていた。
「ひゃっ!」
わたしは、ソファに座り直すとロクを睨み付ける。
ロクは、気にする様子もなくグラスの中身をあおった。
巻き毛の男の人が頷くと、部屋の奥にある扉が開いて淡いピンク色のドレスを着た若い女の子が何人も出てきた。
女の子たちは、ずらりとわたしたちの前に立って会釈をした。
「どのデザインのドレスになさいますか?」
ええ?
わたしは、わけもわからなくって。
ロクの方をちらっと見た。
ロクは、真剣な表情を浮かべて女の子たちを見ている。
「右から二番目のドレス」
ロクは、指を指して見せる。
「それとその隣」
「はい!」
白い巻き毛の男の人が合図すると二人の女の子だけ残して他の子たちは、部屋から出ていく。
残された二人のドレスは、素晴らしかった。
深くあいた胸元に括れた腰。
見たことのないドレスだ。
ちょっと刺激的すぎて頬が熱い。
「さすがは、陛下。このドレスのデザインは、今年の社交界で流行するだろうと自負しております」
白い巻き毛の男の人は、得意気に語った。
それから、次々にいろいろな淡いピンクの服を着た女の子たちが現れては、ロクが選んでいくということが繰り返された。
ロクは、わたしにどの女の子がいいか訊ねてくるけど、わたしは、なんだかムカついていた。
なんで、わたしがロクの好みの女の子を選ばなくてはいけないの?
ひとしきり女の子を選ぶとロクは、わたしをエスコートして店を出ていった。
その頃にはわたしは、ちょっと。
いや、だいぶん機嫌が悪くなっていた。
「どうしたんだ?クロト」
帰りの馬車の中でロクが心配そうにわたしにきいてきたのでわたしは、そっぽを向いた。
「なんでもないわ」
「疲れたのか?」
ロクがわたしの頬にそっと触れる。
わたしは、ロクの手を払うときっぱりと告げた。
「自分の愛人選びには、自分だけで行ってくださいね。わたしは、誰を選ばれても文句なんて言いませんから!」
「おいしいだろう?」
「うん」
わたしは、ごくん、と飲み込むとロクを見つめた。
「これ、何?」
「ストローベルの実だ」
ロクは、もう一つわたしの口許へと差し出す。
「あ、あのっ!」
わたしは、慌ててロクの手を押しやる。
「じ、自分で食べますから!」
そのとき、ごほん、という咳払いがきこえた。
巻き毛の男の人が生暖かい目でわたしたちを見ていた。
「ひゃっ!」
わたしは、ソファに座り直すとロクを睨み付ける。
ロクは、気にする様子もなくグラスの中身をあおった。
巻き毛の男の人が頷くと、部屋の奥にある扉が開いて淡いピンク色のドレスを着た若い女の子が何人も出てきた。
女の子たちは、ずらりとわたしたちの前に立って会釈をした。
「どのデザインのドレスになさいますか?」
ええ?
わたしは、わけもわからなくって。
ロクの方をちらっと見た。
ロクは、真剣な表情を浮かべて女の子たちを見ている。
「右から二番目のドレス」
ロクは、指を指して見せる。
「それとその隣」
「はい!」
白い巻き毛の男の人が合図すると二人の女の子だけ残して他の子たちは、部屋から出ていく。
残された二人のドレスは、素晴らしかった。
深くあいた胸元に括れた腰。
見たことのないドレスだ。
ちょっと刺激的すぎて頬が熱い。
「さすがは、陛下。このドレスのデザインは、今年の社交界で流行するだろうと自負しております」
白い巻き毛の男の人は、得意気に語った。
それから、次々にいろいろな淡いピンクの服を着た女の子たちが現れては、ロクが選んでいくということが繰り返された。
ロクは、わたしにどの女の子がいいか訊ねてくるけど、わたしは、なんだかムカついていた。
なんで、わたしがロクの好みの女の子を選ばなくてはいけないの?
ひとしきり女の子を選ぶとロクは、わたしをエスコートして店を出ていった。
その頃にはわたしは、ちょっと。
いや、だいぶん機嫌が悪くなっていた。
「どうしたんだ?クロト」
帰りの馬車の中でロクが心配そうにわたしにきいてきたのでわたしは、そっぽを向いた。
「なんでもないわ」
「疲れたのか?」
ロクがわたしの頬にそっと触れる。
わたしは、ロクの手を払うときっぱりと告げた。
「自分の愛人選びには、自分だけで行ってくださいね。わたしは、誰を選ばれても文句なんて言いませんから!」
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