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第4章 変わらない世界
その9
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はい?
わたしは、なんのことだかわからなくって呆然としてその場に立ち尽くしていた。
「クロト!」
アリサが駆け寄ろうとするが兵士たちに阻まれてわたしには近寄ることができない。
「何かの間違いではないですか?」
わたしは、自分の声を他人の言葉のように聞いていた。
「間違いなどではない」
兵士は、そう言うとわたしの腕を両側から掴んでわたしを引っ張り歩かせた。
全てがあっという間の出来事で。
わたしは、掴まれた腕が痛くって。
でも、なぜか、泣いちゃいけないような気がしていた。
罪人用の馬車に乗せられた時も必死に涙を堪えていた。
ゴトゴトと揺れる馬車の中でわたしは、何も考えることができなくてただぼんやりと座り込んでいた。
しばらくたってわたしは、やっと異変に気付いた。
わたしは、最初、王宮に向かっているのだとばかり思っていたんだけど、馬車は、何時間も止まることがなくって。
立ち上がると馬車に1つだけあった小さな窓から外を覗き込むと馬車は、王都から外へと向かって疾走しているようだ。
すごい勢いで流れていく景色にわたしは、初めて恐怖を感じていた。
いったい、どこに向かってるの?
わたしの脳裏に最悪のことが浮かんでくる。
まさか、このまま殺されてしまうんじゃないよね?
ぶるっと体が震えてくるのを感じて、自分自身を抱き締める。
どうしよう?
父様、母様、アリサ。
みんなの顔が浮かんでくる。
キース
わたしは、涙が溢れてくるのを堪えきれなかった。
こうしている間も馬車は走り続けていく。
わたしは、恐怖でおかしくなってしまいそうで。
そのとき。
「手助けが必要かな?」
突然、頭上から声が聞こえた。
わたしが頭上をみるとそこには、黒髪に金色の瞳の美しい人が立っていた。
その男は、光輝くほどに美しく思わす、見惚れてしまう。
エルフ?
いや、彼は、エルフではない。
頭に大きな猫のような耳があり、裾の長いチュニックからは、黒い尾が覗いている。
猫の獣人?
「あなたは?」
わたしが訊ねるとその男は答えた。
「私は、『強欲』の悪魔。ロクと呼ばれている」
「『強欲』の悪魔?」
わたしは、自分が夢を見ているのだと思った。
きっと、頭がおかしくなってしまったのだ。
「君は、おかしくなんてないよ」
ロクと名乗ったその悪魔は、わたしに向かってにんまりと笑った。
「私は、君に呼ばれてきた。君の願いをなんでも叶えてあげよう。そのかわり」
ロクは、その美しい顔でわたしに微笑みかける。
「君の一番大切なものをいただく」
わたしは、なんのことだかわからなくって呆然としてその場に立ち尽くしていた。
「クロト!」
アリサが駆け寄ろうとするが兵士たちに阻まれてわたしには近寄ることができない。
「何かの間違いではないですか?」
わたしは、自分の声を他人の言葉のように聞いていた。
「間違いなどではない」
兵士は、そう言うとわたしの腕を両側から掴んでわたしを引っ張り歩かせた。
全てがあっという間の出来事で。
わたしは、掴まれた腕が痛くって。
でも、なぜか、泣いちゃいけないような気がしていた。
罪人用の馬車に乗せられた時も必死に涙を堪えていた。
ゴトゴトと揺れる馬車の中でわたしは、何も考えることができなくてただぼんやりと座り込んでいた。
しばらくたってわたしは、やっと異変に気付いた。
わたしは、最初、王宮に向かっているのだとばかり思っていたんだけど、馬車は、何時間も止まることがなくって。
立ち上がると馬車に1つだけあった小さな窓から外を覗き込むと馬車は、王都から外へと向かって疾走しているようだ。
すごい勢いで流れていく景色にわたしは、初めて恐怖を感じていた。
いったい、どこに向かってるの?
わたしの脳裏に最悪のことが浮かんでくる。
まさか、このまま殺されてしまうんじゃないよね?
ぶるっと体が震えてくるのを感じて、自分自身を抱き締める。
どうしよう?
父様、母様、アリサ。
みんなの顔が浮かんでくる。
キース
わたしは、涙が溢れてくるのを堪えきれなかった。
こうしている間も馬車は走り続けていく。
わたしは、恐怖でおかしくなってしまいそうで。
そのとき。
「手助けが必要かな?」
突然、頭上から声が聞こえた。
わたしが頭上をみるとそこには、黒髪に金色の瞳の美しい人が立っていた。
その男は、光輝くほどに美しく思わす、見惚れてしまう。
エルフ?
いや、彼は、エルフではない。
頭に大きな猫のような耳があり、裾の長いチュニックからは、黒い尾が覗いている。
猫の獣人?
「あなたは?」
わたしが訊ねるとその男は答えた。
「私は、『強欲』の悪魔。ロクと呼ばれている」
「『強欲』の悪魔?」
わたしは、自分が夢を見ているのだと思った。
きっと、頭がおかしくなってしまったのだ。
「君は、おかしくなんてないよ」
ロクと名乗ったその悪魔は、わたしに向かってにんまりと笑った。
「私は、君に呼ばれてきた。君の願いをなんでも叶えてあげよう。そのかわり」
ロクは、その美しい顔でわたしに微笑みかける。
「君の一番大切なものをいただく」
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