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第4章 変わらない世界

その2

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 キースは、ほんと過保護だから。
 わたしは、まだ12歳だけどもう一人前の狩人だって村の自警団のじいちゃんが言ってくれたのに。
 「・・クロト、クロト・エルダー?」
 名前を呼ばれてわたしは、はっと慌てて顔をあげる。
 しまった!
 考え事をしてて大事な神託を聞き逃しちゃった?
 エルフの神官長様は、困ったような顔をしてわたしを見下ろしていた。
 「クロト・エルダー、お前は・・錬金術師だよ」
 はい?
 わたしは、きょとんとしてしまった。
 れんきんじゅつし?
 なにそれ?
 「あの、神官長様」
 わたしが訊ねると神官長様がじっとわたしを見つめた。
 「なんだね?」
 「魅了の間違いでは?それか、魔道師か」
 「うん?」
 神官長様は、にっこり笑ってわたしの頭を撫でた。
 「クロトは、錬金術師が嫌なのかな?」
 わたしは、頷く。
 神官長様は、優しくわたしを諭すように言った。
 「錬金術師は、貴重な才能だよ。きっとお前は、この世界の人々の役に立つ者になる」
 
 「大丈夫、錬金術師なんてすごいじゃないか、クロト!」
 町からの帰り道、キースがわたしを慰める。
 でも、わたしは、不機嫌なまま。
 だって、錬金術師なんかじゃ、剣聖のキースとは、一緒にいられない。
 「キースは、来年から王都の魔法学園に行くんでしょ?」
 わたしたちは、村まで行く荷馬車の後ろにのせてもらっているんだけど御者のルトじぃがげらげら笑う。
 「クロト、お前、王都でキースが浮気するって心配しとるんじゃろうが」
 「そ、そんなこと!」
 わたしは、慌てて言ってからルトじぃを睨み付けた。
 キースは、無表情。
 やっぱ、エルフとゴブリンなんて釣り合わないのかな。
 わたしがうつむくと、キースがそっとわたしの手に触れてきた。
 「王都に行く前にクロトと婚約する」
 はいっ?
 わたしは、驚いてキースを見た。
 キースは、まっすぐ前を見ていて。
 わたしは、キースの横顔を見つめた。
 うっすらと頬を赤らめたキース。
 わたしは、キースの言葉が本心なんだと思って嬉しくって頬が熱くなる。
 
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