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第3章 新しい命
その7
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ローラは、決して諦めなかった。
邪神は、複数の少女たちと子供を作ることにそれほど乗り気ではないようだったが、ローラの熱意に押されていた。
「だが、私は、すでにこの異界に汚染されている。もう、人間とはいえなくなっているのかもしれない。そんな私の血をひく子供たちは、人とはいえないかもしれない」
邪神がそう言うのにローラは、なおも言いつのる。
「例え、人でなくてもよいのではないですか?私たちは、すでに異界の住人ですもの。異界が望むならば私たちの子が魔物であってもよいのではないでしょうか」
そして。
根負けした邪神は、ローラを受け入れた。
「ルシィは、妊娠しているのだからまず最初の邪神様の妻となる者は、ミリアか私となりますわね」
ローラの言葉にミリアは、首を振った。
「私は、邪神の妻にはなれない」
「なぜです?」
ローラが問うとミリアは、答える。
「私は、石女なんだよ」
もちろん、それは、嘘だ。
ミリアは、子供どころか男も知らない乙女だ。
だが。
もしも、邪神と結ばれれば自分は、破滅する。
だから、絶対に結ばれるわけにはいかない。
ローラは、あっさりと納得した。
邪神とローラの婚姻の儀式を執り行うことが決まった。
ニモネに頼んで花婿と花嫁の衣装を用意する。
ニモネは、美しい白いドレスを作り上げた。
ルシィも手伝い、邪神とローラの婚礼の儀式の準備は、滞りなく進んでいく。
ローラは。
二人の婚礼の祝いに牛によく似た魔物のグレイボーンを狩るために森の中で身をひそませていた。
背後から気配を消したハクが話しかける。
「どんな気持ちなんだ?愛する男が別の女と結ばれるのを見ているのは」
「うるさい」
ミリアは、小声でハクの声を打ち消すように囁く。
「お前には、関係のないことだ」
「ふ、ふ、ふ」
ハクが楽しそうに嗤う。
「お前の心。今までで一番うまい」
「黙れ!」
ミリアは、思わず声を荒げる。
遠くに魔物の気配がする。
ミリアは、そっと立ち上がるとすらっと剣を抜き歩き始めた。
邪神は、複数の少女たちと子供を作ることにそれほど乗り気ではないようだったが、ローラの熱意に押されていた。
「だが、私は、すでにこの異界に汚染されている。もう、人間とはいえなくなっているのかもしれない。そんな私の血をひく子供たちは、人とはいえないかもしれない」
邪神がそう言うのにローラは、なおも言いつのる。
「例え、人でなくてもよいのではないですか?私たちは、すでに異界の住人ですもの。異界が望むならば私たちの子が魔物であってもよいのではないでしょうか」
そして。
根負けした邪神は、ローラを受け入れた。
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「なぜです?」
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もちろん、それは、嘘だ。
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だが。
もしも、邪神と結ばれれば自分は、破滅する。
だから、絶対に結ばれるわけにはいかない。
ローラは、あっさりと納得した。
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「うるさい」
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「お前には、関係のないことだ」
「ふ、ふ、ふ」
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「黙れ!」
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