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第2章 異界の悪魔
その13
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「私は、古の神々に創られしもの。ルシアス。ルシアス・ファシスタス」
ミリアは、ぎょっとして剣を見た。
剣は、ミリアに話続ける。
「私の眠りを妨げたのは、お前か?」
「眠り?」
ミリアは、しゃべる剣に問いかけた。
剣、ルシアスは、答えた。
「かつて神々によって創られ勇者に与えられた私は、勇者の魂とともにこの異界で眠りについていた。それを何者かが呼び覚ましたのだ」
「お前の眠りを覚ましたのは、私ではない」
ミリアは、剣に話しかけた。
「でも、お前の新しい主は、私、だ」
ミリアは、剣に向かって宣言した。
「お前は、私のものだ。ルシアス・ファシスタス」
「なんと?」
剣は、不満そうな声を発した。
「勇者でもないただの小娘が私の主、だと?」
「そうだ」
ミリアは、頷く。
「私は、悪魔と契約しお前を手にいれた」
「悪魔」
剣がしばらく黙り込んだ。
長い沈黙の後で剣はミリアに告げた。
「そうか。ならば、お前を主と認めよう」
ミリアは、はっと顔をあげた。
ミリアは、苔もどきの上に横たわっていた。
眠っていたのか?
ミリアは、慌てて身体を起こし全身を見回す。
見えているところにあの紋様は、ない。
「夢、か」
ミリアは、ふっと息を吐いた。
だが。
その手の中には、あの剣がしっかりと握られている。
あれは、夢では、ない。
ミリアは、ぶるっと身体を震わせた。
『お前の願いが叶うとき』
悪魔の声がよみがえる。
『お前の肉体は滅び、魂は、醜いグローシィと化して永遠に生き続ける』
グローシィというのは、全身にイボがある蛙のような魔物だ。
醜い魔物になる。
それも終わりのない永遠の呪いをうけて。
ミリアは、ため息をつく。
なんという呪い、だ。
そのとき、グルルという唸り声がきこえてミリアは、顔をあげた。
ミリアの目の前に巨大な猫のような魔獣がいて彼女のことを見下ろしていた。
ミリアは、剣の柄に手をかける。
が。
次の瞬間、その魔獣がミリアの方へと顔をよせてその大きな長い舌でミリアの頬をペロッと舐めた。
「ふぇっ?」
ミリアが驚いていると魔獣は、猫のようにゴロゴロと喉を鳴らした。
ミリアは、ぎょっとして剣を見た。
剣は、ミリアに話続ける。
「私の眠りを妨げたのは、お前か?」
「眠り?」
ミリアは、しゃべる剣に問いかけた。
剣、ルシアスは、答えた。
「かつて神々によって創られ勇者に与えられた私は、勇者の魂とともにこの異界で眠りについていた。それを何者かが呼び覚ましたのだ」
「お前の眠りを覚ましたのは、私ではない」
ミリアは、剣に話しかけた。
「でも、お前の新しい主は、私、だ」
ミリアは、剣に向かって宣言した。
「お前は、私のものだ。ルシアス・ファシスタス」
「なんと?」
剣は、不満そうな声を発した。
「勇者でもないただの小娘が私の主、だと?」
「そうだ」
ミリアは、頷く。
「私は、悪魔と契約しお前を手にいれた」
「悪魔」
剣がしばらく黙り込んだ。
長い沈黙の後で剣はミリアに告げた。
「そうか。ならば、お前を主と認めよう」
ミリアは、はっと顔をあげた。
ミリアは、苔もどきの上に横たわっていた。
眠っていたのか?
ミリアは、慌てて身体を起こし全身を見回す。
見えているところにあの紋様は、ない。
「夢、か」
ミリアは、ふっと息を吐いた。
だが。
その手の中には、あの剣がしっかりと握られている。
あれは、夢では、ない。
ミリアは、ぶるっと身体を震わせた。
『お前の願いが叶うとき』
悪魔の声がよみがえる。
『お前の肉体は滅び、魂は、醜いグローシィと化して永遠に生き続ける』
グローシィというのは、全身にイボがある蛙のような魔物だ。
醜い魔物になる。
それも終わりのない永遠の呪いをうけて。
ミリアは、ため息をつく。
なんという呪い、だ。
そのとき、グルルという唸り声がきこえてミリアは、顔をあげた。
ミリアの目の前に巨大な猫のような魔獣がいて彼女のことを見下ろしていた。
ミリアは、剣の柄に手をかける。
が。
次の瞬間、その魔獣がミリアの方へと顔をよせてその大きな長い舌でミリアの頬をペロッと舐めた。
「ふぇっ?」
ミリアが驚いていると魔獣は、猫のようにゴロゴロと喉を鳴らした。
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