荒ぶる獣たちは、荒野に愛を叫ぶ~捨てられたゴブリン少女は、獣人の王に溺愛されてます~

トモモト ヨシユキ

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第2章 異界の悪魔

その6

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 「集中して。水の中を泳ぐようなイメージで」
 邪神が己の体を浮遊させる。
 三人は、邪神の真似をしようとするがなかなか体は浮き上がらない。
 「異界は、瘴気という魔力に溢れている。それを取り込んで、そして、体が浮くことをイメージするんだ」
 「無理ですわ」
 ルシィが弱音を吐くとローラが励ます。
 「あなたは、私たちの中では、一番魔法の素養があるのだから。ね?クーランド様」
 「そうだな」
 邪神が頷く。
 なぜか、ミリアは、イライラしていた。
 怒りにまかせて足場を蹴り空中へと飛び上がる。
 異界の空気がねっとりとまとわりつくような感じがしてミリアは、ふっと息を吐いた。
 体が。
 洞穴の天井に向かって体が吸い寄せられるように浮かび上がっていく。
 天井である岩にぶつかりミリアは、顔をしかめた。
 「すごい!ミリア、あなた、浮いてるわ!」
 ローラが感嘆するのを恨めしげに見下ろしてミリアは、なんとか体を天井から離そうとしていた。
 邪神がミリアに向かって手を伸ばす。
 ミリアは、少し戸惑ったがその手を掴んだ。
 邪神に引かれてふわりと空中へと体が漂い出す。
 「体をまっすぐに保つんだ。地上を歩くように空中を歩くんだ」
 無茶を言う。
 ミリアは、邪神の手を掴んだまま足を地上に向けて空中に立とうとした。
 「きゃっ!」
 小さな悲鳴がきこえて邪神が振り向くとルシィの体が地上からわずかに浮かび上がっているのが見える。
 「お前たちは、なかなか優秀だな」
 邪神は、ミリアが空中でなんとか体をまっすぐ保てているのを確認すると手を離した。
 「ローラ、お前もやれるはずだ」
 邪神は、ローラの手をとるとローラの体を空中へと引き上げる。
 「ま、待ってください!まだ、心の準備が!」
 邪神に持ち上げられるようにしてローラの体が空中に浮き上がる。
 「ひゃっ!」
 ローラが邪神に手を離されて手足をバタつかせて空中を漂う。
 最初は、慌てて取り乱していたがすぐにローラは、笑顔になる。
 「信じられません!私、飛んでますわ!」
 
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