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第2章 異界の悪魔
その5
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邪神は、私に何をした?
ミリアは、考えるとなんだか恥ずかしくて掛布を握りしめて悶えていた。
あの時。
いったい何が起こったのか?
しばらくすると足音がきこえて邪神が近づいてきた。
ミリアは、慌ててベッドに潜り込んだ。
邪神は、ミリアの横たわっているベッドに腰かけるとそっとミリアの髪に触れた。
「体調は、どうだ?」
「・・もう、大丈夫、だ」
ミリアが背を向けるのに邪神は、そっと囁く。
「これを」
邪神は、ミリアの手をとりそっと何かを握らせる。
「これは、お前の魔力が凝固したもの、だ。私の鱗と同じようなものだが、より純粋な魔力の塊といえる」
ミリアは、そっと手の中のものを見た。
それは、小さな丸い透明な石だった。
「これ・・こんなものが私の中からでてきたの?」
驚きを隠せないミリアに邪神がふっと微笑む。
「お前の魔力、透明で、汚れがない。とてもきれい、だ」
きれい?
ミリアは、ぼんやりと手の中の玉を見つめた。
それは、水晶のように透明で。
なぜか、ミリアは、涙が溢れるのを止められなかった。
なんで。
ミリアは、ぎゅっと手のひらを握りしめた。
そんなこと。
「お前、泣いてるのか?」
邪神は、震えるミリアの肩にそっと手を置くと優しく撫でる。
「泣くな。道はついた。もう、魔法が使えないなんてことはない」
子供のように泣きじゃくるミリアを邪神は、あやすようになで続けた。
そして、ミリアは、いつのまにか眠りに落ちていった。
異界には、太陽がない。
辺りは、常に薄闇に包まれている。
まるで白夜が続いているようで、一日の区切りがなかった。
邪神は、体内時計に合わせて日常を送っているようだった。
自然とミリアたちも邪神の体内時計に合わせて暮らすようになっていった。
邪神の洞穴は、魔物たちから身を守るために切り立った崖の中腹にある。
そこから出入りすることは、少女たちには不可能に思われた。
洞穴の入り口に立って下を覗き、ローラが身震いする。
「こんなとこ、絶対に登り降りできっこないわ!」
邪神でさえも飛行魔法を使わなくては出入りすることができないのだ。
「ならば、お前たちに飛行魔法を覚えてもらおうか」
なんとか生活魔法が使えるようになった少女たちに邪神が告げた。
ミリアは、考えるとなんだか恥ずかしくて掛布を握りしめて悶えていた。
あの時。
いったい何が起こったのか?
しばらくすると足音がきこえて邪神が近づいてきた。
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「体調は、どうだ?」
「・・もう、大丈夫、だ」
ミリアが背を向けるのに邪神は、そっと囁く。
「これを」
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きれい?
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それは、水晶のように透明で。
なぜか、ミリアは、涙が溢れるのを止められなかった。
なんで。
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そんなこと。
「お前、泣いてるのか?」
邪神は、震えるミリアの肩にそっと手を置くと優しく撫でる。
「泣くな。道はついた。もう、魔法が使えないなんてことはない」
子供のように泣きじゃくるミリアを邪神は、あやすようになで続けた。
そして、ミリアは、いつのまにか眠りに落ちていった。
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