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第1章 獣は、抗う。
その12
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邪神が呼び掛けると樹上から声が聞こえた。
「ニモネ、よばれた」
「そうだ。クーランドが呼んだ」
邪神は、上に向かって話しかけた。
「頼みたいことがある」
がさっと音がして頭上から巨大な影が降ってきてローラとルシィが悲鳴をあげる。
それは、女の頭部を持つ巨大な蜘蛛だった。
ミリアが短剣を抜いたのを邪神が手で制した。
「ニモネは、比較的安全な魔物だ。こちらから攻撃してはいけない」
邪神にいわれてミリアは、短剣を鞘に戻したが全身の緊張は解いてはいなかった。
邪神は、ニモネと呼ばれる魔物に向き合うと女の頭部に手を伸ばし頭をそっと撫でた。
ニモネは、愛撫されて喜んでいるようだった。
それでもミリアは、身構えたままだ。
ニモネは、敵意がないとはいえ巨大な熊なみの大きさの蜘蛛だ。
突然、こちらに襲いかかってこられたらたまったものではない。
「ニモネ、頼みたいことがある」
「なんだ?くーらんど」
ニモネが応じると邪神は、ニモネを撫でている手を離した。
「ここにいる者たちに服を作ってやって欲しい」
邪神にいわれてニモネが三人の方を見た。
「かずがふえている」
「そうだ。あちらからやってきた」
しばらくニモネは何かぶつぶつと呟いていたがすぐに頷いた。
「わかった」
ニモネが頷くとそれを合図に周囲から一斉に蜘蛛たちが飛び出してきた。
ミリアが腰の短剣に手をやろうとしたのを邪神が遮る。
「大丈夫だ。採寸するだけだ」
蜘蛛たちは、ミリアたちの体にしゅるしゅると糸を吐きかけてくる。
ローラは、興味深げな表情で蜘蛛たちをみていたが、ルシィは、真っ青になって震えていた。
ミリアは、緊張したままだ。
「三人とも動くなよ」
邪神が愉快そうな様子で採寸されている三人を見ている。
「妙な動きをしたら喰われるぞ」
「はひっ!?」
ルシィがまずます青ざめる。
蜘蛛たちは、すばやい動きで三人の周囲を動き回っていたがやがてふいっとそっぽを向き何やらもぞもぞと始めた。
ミリアとローラは、彼らの様子をじっと見つめていた。
蜘蛛たちは、地面に巣を作るように糸を吐いていく。
蜘蛛たちの吐く糸は、みるみる内に洋服を形作っていく。
「信じられない・・」
ミリアが低く呟くと、ローラがこくこくと頷く。
蜘蛛たちが服を織っている間に邪神は、そっとニモネを撫でながら何かをニモネの口許へと差し出した。
キラキラと輝くそれは、邪神の鱗のようだった。
ニモネは、舌を伸ばして邪神の鱗を舐めとる。
口に含むととろんとした恍惚の表情を浮かべた。
「ニモネ、よばれた」
「そうだ。クーランドが呼んだ」
邪神は、上に向かって話しかけた。
「頼みたいことがある」
がさっと音がして頭上から巨大な影が降ってきてローラとルシィが悲鳴をあげる。
それは、女の頭部を持つ巨大な蜘蛛だった。
ミリアが短剣を抜いたのを邪神が手で制した。
「ニモネは、比較的安全な魔物だ。こちらから攻撃してはいけない」
邪神にいわれてミリアは、短剣を鞘に戻したが全身の緊張は解いてはいなかった。
邪神は、ニモネと呼ばれる魔物に向き合うと女の頭部に手を伸ばし頭をそっと撫でた。
ニモネは、愛撫されて喜んでいるようだった。
それでもミリアは、身構えたままだ。
ニモネは、敵意がないとはいえ巨大な熊なみの大きさの蜘蛛だ。
突然、こちらに襲いかかってこられたらたまったものではない。
「ニモネ、頼みたいことがある」
「なんだ?くーらんど」
ニモネが応じると邪神は、ニモネを撫でている手を離した。
「ここにいる者たちに服を作ってやって欲しい」
邪神にいわれてニモネが三人の方を見た。
「かずがふえている」
「そうだ。あちらからやってきた」
しばらくニモネは何かぶつぶつと呟いていたがすぐに頷いた。
「わかった」
ニモネが頷くとそれを合図に周囲から一斉に蜘蛛たちが飛び出してきた。
ミリアが腰の短剣に手をやろうとしたのを邪神が遮る。
「大丈夫だ。採寸するだけだ」
蜘蛛たちは、ミリアたちの体にしゅるしゅると糸を吐きかけてくる。
ローラは、興味深げな表情で蜘蛛たちをみていたが、ルシィは、真っ青になって震えていた。
ミリアは、緊張したままだ。
「三人とも動くなよ」
邪神が愉快そうな様子で採寸されている三人を見ている。
「妙な動きをしたら喰われるぞ」
「はひっ!?」
ルシィがまずます青ざめる。
蜘蛛たちは、すばやい動きで三人の周囲を動き回っていたがやがてふいっとそっぽを向き何やらもぞもぞと始めた。
ミリアとローラは、彼らの様子をじっと見つめていた。
蜘蛛たちは、地面に巣を作るように糸を吐いていく。
蜘蛛たちの吐く糸は、みるみる内に洋服を形作っていく。
「信じられない・・」
ミリアが低く呟くと、ローラがこくこくと頷く。
蜘蛛たちが服を織っている間に邪神は、そっとニモネを撫でながら何かをニモネの口許へと差し出した。
キラキラと輝くそれは、邪神の鱗のようだった。
ニモネは、舌を伸ばして邪神の鱗を舐めとる。
口に含むととろんとした恍惚の表情を浮かべた。
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