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第5章 社交界の陰謀その2
5ー6 救い人
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5ー6 救い人
俺を乗せたラダルは、空へと飛び立った。
500年ぶりの空だ。
ラダルは、のびのびと翼をのばして空を楽しんでいるようだった。
俺も竜だったからわかる。
空を飛ぶことは竜にとっては、特別だ。
風をきって天空を舞うことは、竜にとっては、最高の喜びだった。
「しっかりつかまっててくださいよ、ロイド様」
ラダルは、さらにスピードをあげる。
俺でなければこの風圧には耐えられないだろう。
ラダルは、しばらく雲の間を飛んでいたが十数分後、下降し始めた。
うん。
目の前に天をも貫いてのびる巨大な木が見える。
ラダルは、その木の根本へと降りていった。
その大木の周辺には森が広がっていたが、根本にはちょっとしたスペースがあった。
そこをめがけてラダルは降りていった。
その巨体からは、想像できないぐらいふわりと地上に降り立ったラダルの背に乘ったまま俺は、その大樹を見上げた。
本当に立派な木だ。
こんなでかい木は、前世でも今生でも見たことがなかった。
「あなたは・・」
大樹の根本の洞から一体のブルードラゴンが現れた。
美しい青い鱗に覆われたその竜は、ラダルの方へと近づいてくる。
「もしかしてラダルなの?」
「ナディア」
ラダルは、彼女の方へと歩みよった。
俺は、ラダルの背から降りると二人きりにしてやることにした。
500年だ。
それは、例え竜であってもずいぶんと長い時だ。
二人が話している間、俺は、その大樹のことを観察していた。
本当に巨大な樹だ。
幹の周囲には様々な植物が寄生していて、この木だけでも立派な生態系を形成している。
しかも、中には俺も見たことのないような種類の植物があった。
俺は、一枚の葉をちぎってその匂いを嗅いでみた。
うん。
葉は、いい匂いがして嗅ぐだけで体がすぅっと軽くなった。
おそらく薬草だ。
俺も知らない薬草だった。
俺は、手を伸ばしていくつかの薬草らしき植物を採取して空間収納に納めた。
「お前!何をしている!」
鋭い声に俺は、背後を振り返った。
そこには、手に短刀を持ったエルフの娘が立っていた。
「怪しい奴め!はやく聖樹から離れろ!」
はい?
俺は、そのエルフの言葉に大樹のことを振り返っていた。
これが聖樹?
マジですか?
その間にもエルフの娘は、短刀で俺に切りかかってきた。
俺は、エルフの腕をとると短刀を叩き落とした。
「くぅっ!」
俺に押さえられてエルフが苦悶の表情を浮かべる。
「離せ!」
「ライディア?」
ナディアが俺たちの方へと歩み寄る。
ナディアをとがめるように見つめてエルフの娘は、詰問した。
「ナディア!聖樹の守りであるあなたがなぜ、このような者が聖樹に近づくことを許している?」
「これには訳があるのです」
ナディアがエルフの娘に話した。
「このお方は、我らの救い人かもしれないのです」
俺を乗せたラダルは、空へと飛び立った。
500年ぶりの空だ。
ラダルは、のびのびと翼をのばして空を楽しんでいるようだった。
俺も竜だったからわかる。
空を飛ぶことは竜にとっては、特別だ。
風をきって天空を舞うことは、竜にとっては、最高の喜びだった。
「しっかりつかまっててくださいよ、ロイド様」
ラダルは、さらにスピードをあげる。
俺でなければこの風圧には耐えられないだろう。
ラダルは、しばらく雲の間を飛んでいたが十数分後、下降し始めた。
うん。
目の前に天をも貫いてのびる巨大な木が見える。
ラダルは、その木の根本へと降りていった。
その大木の周辺には森が広がっていたが、根本にはちょっとしたスペースがあった。
そこをめがけてラダルは降りていった。
その巨体からは、想像できないぐらいふわりと地上に降り立ったラダルの背に乘ったまま俺は、その大樹を見上げた。
本当に立派な木だ。
こんなでかい木は、前世でも今生でも見たことがなかった。
「あなたは・・」
大樹の根本の洞から一体のブルードラゴンが現れた。
美しい青い鱗に覆われたその竜は、ラダルの方へと近づいてくる。
「もしかしてラダルなの?」
「ナディア」
ラダルは、彼女の方へと歩みよった。
俺は、ラダルの背から降りると二人きりにしてやることにした。
500年だ。
それは、例え竜であってもずいぶんと長い時だ。
二人が話している間、俺は、その大樹のことを観察していた。
本当に巨大な樹だ。
幹の周囲には様々な植物が寄生していて、この木だけでも立派な生態系を形成している。
しかも、中には俺も見たことのないような種類の植物があった。
俺は、一枚の葉をちぎってその匂いを嗅いでみた。
うん。
葉は、いい匂いがして嗅ぐだけで体がすぅっと軽くなった。
おそらく薬草だ。
俺も知らない薬草だった。
俺は、手を伸ばしていくつかの薬草らしき植物を採取して空間収納に納めた。
「お前!何をしている!」
鋭い声に俺は、背後を振り返った。
そこには、手に短刀を持ったエルフの娘が立っていた。
「怪しい奴め!はやく聖樹から離れろ!」
はい?
俺は、そのエルフの言葉に大樹のことを振り返っていた。
これが聖樹?
マジですか?
その間にもエルフの娘は、短刀で俺に切りかかってきた。
俺は、エルフの腕をとると短刀を叩き落とした。
「くぅっ!」
俺に押さえられてエルフが苦悶の表情を浮かべる。
「離せ!」
「ライディア?」
ナディアが俺たちの方へと歩み寄る。
ナディアをとがめるように見つめてエルフの娘は、詰問した。
「ナディア!聖樹の守りであるあなたがなぜ、このような者が聖樹に近づくことを許している?」
「これには訳があるのです」
ナディアがエルフの娘に話した。
「このお方は、我らの救い人かもしれないのです」
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