異世界転生したものの全てを失った俺は、奈落で奴隷王子の騎士になる

トモモト ヨシユキ

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第5章 社交界の陰謀その2

5ー3 ロウランの罠

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 5ー3 ロウランの罠

 マイヒナが話したところによると、とある婦女子が俺の子供を宿したといっているらしい。
 その女は、あるパーティーの後、俺に声をかけられたのだとか。
 そして。
 「その、彼女が言うには、あなたの子供を身ごもっているのだとか」
 はい?
 俺は、眉をひそめた。
 俺は、この龍人の姿になって以来、女には触れていない。
 いや。
 俺が少しでも触れた相手がいるとしたらそれは、チヒロだけだ。
 この場にいたアーリアがきっぱりと言い放った。
 「言わないことではないでしょう?これは、あなたを陥れるための罠ですわ」
 「主さんに心当たりがなければだけどね」
 リータがにんまりと笑っている。
 「まあ、主さんは、このところチヒロ一筋だったけどねぇ」
 チヒロがぽっと赤くなる。
 俺は、マイヒナに訊ねた。
 「いったいどこの誰がそんなことを言ってるんだ?」
 「それが」
 マイヒナが答えた。
 「なんでもアイヒミューゼン王国から神都ライヒバーンに派遣されている大使の婚約者だとか」
 ロウラン、だ。
 俺は、頭を何かで殴られたような衝撃を受けた。
 「俺がその女を抱いたことは、一度もないな」
 そう。
 俺がロウランとそういう関係になったことは、竜にされる前にも、その後にも一度もなかった。
 口づけさえもなかった。
 「本当にロウランは、妊娠しているのか?」
 俺がきくとマイヒナが頷く。
 「神殿の神官長によると彼女は、確かに妊娠しているそうです」
 マジか。
 俺は、さらにマイヒナに訊ねた。
 「なぜ、そのことに神殿が?」
 「それは・・」
 マイヒナは、俺に言いにくそうにしたので俺は、マイヒナを促して話させた。
 マイヒナが言うにはロウランは、俺に無体を受けたとかで神殿に訴えたのだそうだ。
 「あの女は、神殿にあなたに乱暴されて子供ができたと訴えています」
 「それで?」
 俺は、ぎりぎりと爪を噛んでいた。
 マイヒナは、話を続けた。
 「あの、ロウランとかいう女は、あなたに乱暴されて子供ができたために婚約者に婚約破棄されたとかで、あなたに責任をとってもらいたいとか言っているそうです」
 はいぃっ?
 俺は、憤りを隠せない。
 「いや。責任も何も、あの女とは、そんな関係ではないし」
 俺は、そこではっと気づいた。
 俺をはめようとしているのか?
 ロウランは。
 俺がまだロイド・ライゼンバーグと名乗っていた頃にだって俺に体どころか唇だって許してはくれなかった。
 なのに。
 「どうするつもりなんだ?ロイド」
 チヒロが俺に訊ねたので俺は、ため息をついた。
 「どうするもこうするも、俺には、まったく身に覚えがないんだが」
 俺は、マイヒナにきいた。
 「で?ロウランは今、どうしている?」
 「彼女は、神殿で大切に保護されているようです。神殿からすれば貴重なあなたのお子を身ごもった女性ですからね」
 「いや。俺の子じゃないし」
 俺は、唸った。
 「だいたい神殿で父親判定の魔法を使えばすむ話なんじゃないか?」
 
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