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第4章 社交界の陰謀
4ー4 カウンセラー
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4ー4 カウンセラー
俺が龍人になることで得た力と前世での医療の知識を使った『ヒポクラティス』治療院は、この世界では始めての本格的な病院となった。
徐々に神都ライヒバーンの別名のように語られるようになった『ヒポクラティス』治療院で診療を受けるために多くの人々が世界中から訪れるようになった。
チヒロは、魔法が使えないがウルマグライン魔法学園に通いながら放課後には俺の治療院の手伝いをしてくれた。
といっても魔法の使えないチヒロにできることは限られている。
チヒロは、文句も言わずに汚れたシーツや包帯を洗い、病室を掃除してくれた。
病気で不安な人々の目には、チヒロは、天使のように見えたのだろう。
チヒロは、いつしかこの治療院のナイチンゲールのような存在になっていた。
下界でもこの『ヒポクラティス』治療院を無視できなくなっていた。
病に苦しむ王侯貴族だけではなく貧しい平民たちにとってもこの治療院は、希望の光を投げ掛けていた。
だが、この神都ライヒバーンまで訪れることができる者は、限られていた。
俺は、なんとか下界にも治療院を作りたいと思っていたのだが、それは、なかなか難しく思われた。
やはり問題は、教会だった。
今までは、病や怪我の治療は神の領域とされていた。
それを俺たちの商会が行うことを彼らはよく思わなかった。
「とてもいいことなのに」
チヒロが俺の執務室で疲れた俺の肩を揉みながらこぼした。
チヒロは、俺の体を気遣って時々、こうしてマッサージをしたりしてくれるのだ。
チヒロには、魔法は使えない。
だから、チヒロに触れられても決して癒されることはない。
だけど、俺は、チヒロにマッサージされるとすごく体調がよくなるのを感じた。
これは、心理的なものかもしれないが、確かに、効いている。
何より、チヒロと話していると心がほんわかして軽くなる。
もしかしたらチヒロは、この世界初のカウンセラーなのかもしれない。
「いいことでもこの世界から受け入れられないなら仕方ないさ」
俺がそう話すとチヒロは、小さなため息を漏らした。
「僕が王様なら、きっと治療院を地上にも作りたいと思う筈だけどな」
俺は、地上にも治療院を作りたかったがそれは、なかなか話が進まなかった。
所詮、どこの国の王族も教会と強く結ばれている。
俺たちの治療院を受け入れてくれる国は、どこにもなかった。
「この神都みたいに天空に治療院を作れたらいいのに」
チヒロの言葉に俺は、はっとした。
「そうだな」
天空に造る?
俺は、思わずチヒロを抱き締めていた。
「ありがとう、チヒロ」
「ええっ?」
戸惑っているチヒロをぎゅうぎゅう抱いて俺は、叫んだ。
「そうなんだ、その手があったんだ!」
俺が龍人になることで得た力と前世での医療の知識を使った『ヒポクラティス』治療院は、この世界では始めての本格的な病院となった。
徐々に神都ライヒバーンの別名のように語られるようになった『ヒポクラティス』治療院で診療を受けるために多くの人々が世界中から訪れるようになった。
チヒロは、魔法が使えないがウルマグライン魔法学園に通いながら放課後には俺の治療院の手伝いをしてくれた。
といっても魔法の使えないチヒロにできることは限られている。
チヒロは、文句も言わずに汚れたシーツや包帯を洗い、病室を掃除してくれた。
病気で不安な人々の目には、チヒロは、天使のように見えたのだろう。
チヒロは、いつしかこの治療院のナイチンゲールのような存在になっていた。
下界でもこの『ヒポクラティス』治療院を無視できなくなっていた。
病に苦しむ王侯貴族だけではなく貧しい平民たちにとってもこの治療院は、希望の光を投げ掛けていた。
だが、この神都ライヒバーンまで訪れることができる者は、限られていた。
俺は、なんとか下界にも治療院を作りたいと思っていたのだが、それは、なかなか難しく思われた。
やはり問題は、教会だった。
今までは、病や怪我の治療は神の領域とされていた。
それを俺たちの商会が行うことを彼らはよく思わなかった。
「とてもいいことなのに」
チヒロが俺の執務室で疲れた俺の肩を揉みながらこぼした。
チヒロは、俺の体を気遣って時々、こうしてマッサージをしたりしてくれるのだ。
チヒロには、魔法は使えない。
だから、チヒロに触れられても決して癒されることはない。
だけど、俺は、チヒロにマッサージされるとすごく体調がよくなるのを感じた。
これは、心理的なものかもしれないが、確かに、効いている。
何より、チヒロと話していると心がほんわかして軽くなる。
もしかしたらチヒロは、この世界初のカウンセラーなのかもしれない。
「いいことでもこの世界から受け入れられないなら仕方ないさ」
俺がそう話すとチヒロは、小さなため息を漏らした。
「僕が王様なら、きっと治療院を地上にも作りたいと思う筈だけどな」
俺は、地上にも治療院を作りたかったがそれは、なかなか話が進まなかった。
所詮、どこの国の王族も教会と強く結ばれている。
俺たちの治療院を受け入れてくれる国は、どこにもなかった。
「この神都みたいに天空に治療院を作れたらいいのに」
チヒロの言葉に俺は、はっとした。
「そうだな」
天空に造る?
俺は、思わずチヒロを抱き締めていた。
「ありがとう、チヒロ」
「ええっ?」
戸惑っているチヒロをぎゅうぎゅう抱いて俺は、叫んだ。
「そうなんだ、その手があったんだ!」
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