異世界転生したものの全てを失った俺は、奈落で奴隷王子の騎士になる

トモモト ヨシユキ

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第4章 社交界の陰謀

4ー3 ヒポクラティス治療院

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 4ー3 ヒポクラティス治療院

 俺が家を追われてからもうすでに3年以上の時が過ぎていた。
 俺は、その間、生きることに必死で義兄のことなんか考えもしなかった。
 たまに考えるとき、俺は、内臓が焦がされるような苦しみを味わっていた。
 そんな苦しみや憎しみの虜になることなく今まで生きられたのは、チヒロのお陰だ。
 チヒロがいたから俺は、自分の過去だけに囚われることなく生きてこられたのだ。
 そして。
 チヒロの力は、俺にこの神都ライヒバーンという最強の力を与えてくれた。
 今の俺には、世界を滅ぼすことだってできる。
 おそらく義兄への恨みだけに囚われていた頃の俺なら迷うことなくこの力を使って世界を滅ぼしていたことだろう。
 だが。
 今の俺には、守りたいものがある。
 俺は。
 俺は、この力でチヒロを本当の王にしたいと思っていた。
 チヒロが生きられる世界を造る。
 俺は、目を開くと起き上がった。
 チヒロのための世界。
 俺は、決意をしていた。
 なんとしても俺は、チヒロを世界の王にする。
 
 それからすぐに俺は、行動を開始した。
 まずは、奈落の俺の領地と神都ライヒバーンを繋ぐゲートの建設を始めた。
 神都の神族の血族たちは、俺が勝手にゲートを開こうとしていることをよくは思ってはいなかった。
 だが、神族の血族たちのリーダーであるリザイアス家の人々は、俺の味方だった。
 カルロバーンたちは、俺のやることを見守ってくれた。
 「ロイド・ヘルレイザー辺境伯は、この神都ライヒバーンが認めた者。その彼が望むことは、神都の望みだ」
 ゲートで奈落と繋がることで俺は、『ヒポクラティス』商会の新製品の研究を学業と両立させることができるようになった。
 と同時に俺は、神都ライヒバーンに診療所を作ることにした。
 下界では、教会の手前、診療所を開くことなどできないがここ神都ライヒバーンでは、それも可能だ。
 ここにも神殿はあるが、俺は、どちらかというと神殿の中身ともいえる存在なので俺が診療行為をすることをとがめるものもいない。
 俺は、『ヒポクラティス』商会の中に医療機関を創設した。
 それは、この世界における病院の始まりといえる。
 俺は、教会や神殿よりも格安で病人や怪我人を治療することにした。
 口コミで患者は、どんどん増えていきマイヒナから苦情がでるようになり、俺は、『ヒポクラティス』商会から移動して神都ライヒバーンの街の中心辺りの屋敷を購入しそこに病院を創建した。
 さすがに俺一人では対応しきれないし、俺は、まだ正式には学生の身なので何人かの薬師や、治癒師を雇いいれることにした。
 この病院の名前を俺は、特に決めなかった。
 人々は、ここを『ヒポクラティス』治療院と呼ぶようになった。
 
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