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第4章 社交界の陰謀
4ー1 パーティーにて
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4ー1 パーティーにて
ウルマグライン魔法学園の一年は、前期と後期にわかれている。
そして各期の終わりには試験があり、試験の後にはちょっとしたパーティーが開かれる。
一年時は、いろいろあって俺たちはパーティーに出席しなかったのだが、二年時の前期の終わりのパーティーには出席することを余儀なくされた。
それは、生徒会の意向であると同時にこの神都ライヒバーンからの要請だった。
そういうわけで俺たちは、今、パーティーに出席しているのだが俺は、非常に機嫌が悪かった。
このウルマグライン魔法学園の期末パーティーには、下界からこの神都ライヒバーンに来ている大使やら留学生やらも参加していてちょっとした外交の場となっていた。
その性質は、俺が神都ライヒバーンの核となった今、顕著になっている。
というわけで。
俺は、社交の場できわめて微妙な位置にたたされていた。
今や、俺は、世界で唯一の存在だった。
世界の頂点にたつこの神都ライヒバーンそのものである俺には、様々な国からやって来た大使やらなんやらが群がっていた。
俺は、もう、うんざりしていた。
次から次へと現れるお偉いさんたちの相手をすることで疲れはてていた。
それは、俺の従者であるチヒロとリータも同じだった。
マイヒナが『ヒポクラティス』商会の権力を駆使して用意した美しいドレスを身にまとったチヒロとリータは、このパーティーの花だった。
俺に群がる連中が片っ端から二人をダンスに誘ってくるため二人は、大忙しだった。
特にチヒロは、可愛らしくてリータに比べて扱いやすそうな印象を与えるためかダンスの希望者が列をなしていた。
いやいやいや!
お前たち、騙されてるぞ!
チヒロは、女の子として暮らしているけど女の子じゃない。
まあ、今のところ誰にも気づかれてはいないんだが、それも俺をなんだかやきもきさせていた。
チヒロは、俺の気持ちも知らずに笑顔で連中の相手をしていた。
花のように美しいチヒロ。
だが、チヒロには、秘密がある。
チヒロは、この世界の最強のマジックキャンセラーであり、今は、俺とアルアロイの力で封じられているがその実力はこの神都ライヒバーンをも機能不全に落ち込ませるほどのものだ。
もしかしたら俺よりも強いかも。
つまり、だ。
本当に警戒するべきはチヒロなのだ。
この世界を統べる真の王者は、俺ではない。
そのことに気づくものがいないとも限らないのだ。
俺は、他のやつらと会話しながらも常にチヒロを目で追っていた。
チヒロは、自分の価値を本当の意味では知らない。
だからこそ危うい。
俺は、何者からもチヒロを守る。
「あなたは、よほどあの従者がお気に入りのようですな」
その声に俺は、振り返った。
それは、俺が忘れようとしても忘れられない男の声だった。
ウルマグライン魔法学園の一年は、前期と後期にわかれている。
そして各期の終わりには試験があり、試験の後にはちょっとしたパーティーが開かれる。
一年時は、いろいろあって俺たちはパーティーに出席しなかったのだが、二年時の前期の終わりのパーティーには出席することを余儀なくされた。
それは、生徒会の意向であると同時にこの神都ライヒバーンからの要請だった。
そういうわけで俺たちは、今、パーティーに出席しているのだが俺は、非常に機嫌が悪かった。
このウルマグライン魔法学園の期末パーティーには、下界からこの神都ライヒバーンに来ている大使やら留学生やらも参加していてちょっとした外交の場となっていた。
その性質は、俺が神都ライヒバーンの核となった今、顕著になっている。
というわけで。
俺は、社交の場できわめて微妙な位置にたたされていた。
今や、俺は、世界で唯一の存在だった。
世界の頂点にたつこの神都ライヒバーンそのものである俺には、様々な国からやって来た大使やらなんやらが群がっていた。
俺は、もう、うんざりしていた。
次から次へと現れるお偉いさんたちの相手をすることで疲れはてていた。
それは、俺の従者であるチヒロとリータも同じだった。
マイヒナが『ヒポクラティス』商会の権力を駆使して用意した美しいドレスを身にまとったチヒロとリータは、このパーティーの花だった。
俺に群がる連中が片っ端から二人をダンスに誘ってくるため二人は、大忙しだった。
特にチヒロは、可愛らしくてリータに比べて扱いやすそうな印象を与えるためかダンスの希望者が列をなしていた。
いやいやいや!
お前たち、騙されてるぞ!
チヒロは、女の子として暮らしているけど女の子じゃない。
まあ、今のところ誰にも気づかれてはいないんだが、それも俺をなんだかやきもきさせていた。
チヒロは、俺の気持ちも知らずに笑顔で連中の相手をしていた。
花のように美しいチヒロ。
だが、チヒロには、秘密がある。
チヒロは、この世界の最強のマジックキャンセラーであり、今は、俺とアルアロイの力で封じられているがその実力はこの神都ライヒバーンをも機能不全に落ち込ませるほどのものだ。
もしかしたら俺よりも強いかも。
つまり、だ。
本当に警戒するべきはチヒロなのだ。
この世界を統べる真の王者は、俺ではない。
そのことに気づくものがいないとも限らないのだ。
俺は、他のやつらと会話しながらも常にチヒロを目で追っていた。
チヒロは、自分の価値を本当の意味では知らない。
だからこそ危うい。
俺は、何者からもチヒロを守る。
「あなたは、よほどあの従者がお気に入りのようですな」
その声に俺は、振り返った。
それは、俺が忘れようとしても忘れられない男の声だった。
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