異世界転生したものの全てを失った俺は、奈落で奴隷王子の騎士になる

第３章 神都の覇者

3ー15 神都の覇者

　３ー15　神都の覇者

　それからが大変だった。
　神都ライヒバーンの長である神族の血族の代表たちに呼び出されて俺は、いろいろな検査をされた。
　そして、連中は、俺が完全に神都と同調していることを認めた。
　「こんなことは、この神都始まって以来のことだ」
　神都ライヒバーンの首長であるカイロバーンたちの父親でもあるロブロス・リザイアスが俺の前に膝をついた。
　「あなたは、この神都ライヒバーンの化身となられた」
　俺は、祭り上げられたくなかった。
　俺の望みは、今まで通り、生活することだからな。
　俺は、ロブロスに告げた。
　「俺は、神都ライヒバーンの一部になったが、あんたたちをどうこうしたいとか思ってはいない。ただ、このチヒロが生きている間は、俺は、チヒロの騎士だ。チヒロと共に生きるつもりだから、そのつもりで」
　俺は、ロブロスたちの哀願を拒否して今まで通り自分の屋敷でチヒロと共に暮らすことを選んだ。
　「せめて護衛だけはつけさせてください」
　ロブロスに頭を下げられて仕方なく俺は、神都ライヒバーンの騎士団の警護を受けることになった。
　俺の屋敷の一角に騎士団の支部が作られ騎士たちが常駐することになった。
　そんなものは必要なかったんだが、俺にもしものことがあったら、と心配するロブロスのために受けることにした。
　それにチヒロのためにも。
　今回のことでチヒロの力のすごさが証明されたのだ。
　チヒロは、一人でこの強大な神都ライヒバーンを機能不全に陥れることができる。
　これを利用しようとするものが再び現れないとも限らない。
　炎鉄の騎士団と呼ばれこの世界最強の騎士団と位置付けられる騎士団の騎士たちが守ってくれるのだ。
　ちょっとは俺も安心できるというものだ。
　リータが今回のことを報告するとアルアロイは、非常に満足したらしい。
　なんでも唯一、アルアロイの力が及ばない場所であった神都ライヒバーンが自分の息のかかった者である俺の支配下に置かれることになり、これで世界の全てを手に入れたようなものになったのだという。
　俺は、舌を出していた。
　そうかい、そうかい。
　なんでも好きにしてくれ。
　だが、俺は、アルアロイの言うなりにはならない。
　今の俺は、アルアロイにも匹敵する力を持っているのだ。
　この神都ライヒバーンの核となった今だからこそよく理解できる。
　この神都ライヒバーンの本来の力。
　それは、衛星軌道上から地上を監視し、必要なら攻撃を加えることも可能というものだった。
　その絶対的な力があれば世界征服も簡単に思える。
　俺がそれをしないのは、非効率だからにすぎない。
　世界の支配者なんかになってみろ。
　忙しくて、チヒロとゆっくりと過ごす暇もなくなってしまう。