異世界転生したものの全てを失った俺は、奈落で奴隷王子の騎士になる

トモモト ヨシユキ

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第3章 神都の覇者

3ー10 一緒に生きていきたい!

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 3ー10 一緒に生きていきたい!

 お茶会の間、チヒロは、俺に友人のマデリン姫や、ルシ-ディア姫、それにユーリス様を自ら紹介してくれた。
 「マデリン姫は、すごく賢いんだ。僕の知らないことをいろいろ知ってて教えてくれるんだ」
 「まあ、チヒロったら」
 マデリン姫が恥ずかしそうに微笑んだ。
 「私、それほど物知りでもないですのよ。きっとロイド様の方がいろいろ世間を知っておられるでしょうし」
 「そうだな」
 ルシ-ディア姫が頷いた。
 「私も、ぜひ、ロイド殿に魔界のことなどきいてみたい」
 「私は、ロイド様に薬草についておききしたいですわ」
 ユーリス様が俺に訊ねた。
 「あの、エリクサーに使われているという魔界の薬草は、地上でも育てることは可能でしょうか?」
 「あの薬に使われている薬草は特別でね。魔界、というか奈落の魔素を養分として成長するんだ。だから、地上ではちょっと育てるのは難しいかもしれないな」
 俺は、答えながらチヒロをちらっと見た。
 リータは、別のテーブルに案内されている。
 さっき確認したらよくは知らないがおそらく身分のそこそこある男たちに囲まれてちやほやされていた。
 俺は、俺を熱い眼差しで見つめている3人の美少女に視線を戻すと告げた。
 「悪いんだが急用を思い出した。俺は、先に失礼するがチヒロとリータは、ゆっくりとお茶会を楽しませてもらうといい」
 俺は、そう言うとすぐに立ち上がってその場から歩み去った。
 「待って!」
 すぐに後をチヒロが追いかけてくる。
 早足で歩く俺に追い付こうと小走りでやってきたチヒロは、俺の上着の裾を握りしめて俺を引き留めた。
 「ロイド!」
 「なんだ?チヒロ」
 俺は、振りかえるとチヒロを冷たい目で見た。
 「俺を女たちに売るつもりならお断りだ。あの連中と話したいならお前だけで楽しんでくるがいい」
 「別に、そんなつもりじゃ」
 チヒロは、泣きそうな顔をしてうつむいた。
 「ただ、リータが、さ。もし、ロイドに恋人がいれば、ロイドも生徒会長たちの申し出を断るんじゃないかっていうから」
 「だから、お前が女衒のまねごとをしてるのか?」
 俺は、リータに対する憤りで胸が悪くなる。
 何を考えるのも自由だが、チヒロにおかしなことを吹き込みやがって!
 「怒らないで、ロイド」
 チヒロがうるうると揺れる瞳で俺を見上げた。
 「僕、僕、ほんとにロイドのことが心配で。だって・・生徒会長たちのいう通りに進んだらロイドは、もう二度と僕のもとには帰ってきてくれないってことだろう?僕は、そんなのは、嫌だ!」
 「チヒロ?」
 「僕は、ずっとロイドに側にいて欲しいし、僕もロイドの側にいたい!」
 チヒロが俺の胸元に顔をよせた。
 「僕は・・ロイドと一緒に生きていきたい」
 「チヒロ・・・」
 俺は、チヒロの肩に手を置いた。
 チヒロの体は、震えていた。
 
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