44 / 85
第3章 神都の覇者
3ー10 一緒に生きていきたい!
しおりを挟む
3ー10 一緒に生きていきたい!
お茶会の間、チヒロは、俺に友人のマデリン姫や、ルシ-ディア姫、それにユーリス様を自ら紹介してくれた。
「マデリン姫は、すごく賢いんだ。僕の知らないことをいろいろ知ってて教えてくれるんだ」
「まあ、チヒロったら」
マデリン姫が恥ずかしそうに微笑んだ。
「私、それほど物知りでもないですのよ。きっとロイド様の方がいろいろ世間を知っておられるでしょうし」
「そうだな」
ルシ-ディア姫が頷いた。
「私も、ぜひ、ロイド殿に魔界のことなどきいてみたい」
「私は、ロイド様に薬草についておききしたいですわ」
ユーリス様が俺に訊ねた。
「あの、エリクサーに使われているという魔界の薬草は、地上でも育てることは可能でしょうか?」
「あの薬に使われている薬草は特別でね。魔界、というか奈落の魔素を養分として成長するんだ。だから、地上ではちょっと育てるのは難しいかもしれないな」
俺は、答えながらチヒロをちらっと見た。
リータは、別のテーブルに案内されている。
さっき確認したらよくは知らないがおそらく身分のそこそこある男たちに囲まれてちやほやされていた。
俺は、俺を熱い眼差しで見つめている3人の美少女に視線を戻すと告げた。
「悪いんだが急用を思い出した。俺は、先に失礼するがチヒロとリータは、ゆっくりとお茶会を楽しませてもらうといい」
俺は、そう言うとすぐに立ち上がってその場から歩み去った。
「待って!」
すぐに後をチヒロが追いかけてくる。
早足で歩く俺に追い付こうと小走りでやってきたチヒロは、俺の上着の裾を握りしめて俺を引き留めた。
「ロイド!」
「なんだ?チヒロ」
俺は、振りかえるとチヒロを冷たい目で見た。
「俺を女たちに売るつもりならお断りだ。あの連中と話したいならお前だけで楽しんでくるがいい」
「別に、そんなつもりじゃ」
チヒロは、泣きそうな顔をしてうつむいた。
「ただ、リータが、さ。もし、ロイドに恋人がいれば、ロイドも生徒会長たちの申し出を断るんじゃないかっていうから」
「だから、お前が女衒のまねごとをしてるのか?」
俺は、リータに対する憤りで胸が悪くなる。
何を考えるのも自由だが、チヒロにおかしなことを吹き込みやがって!
「怒らないで、ロイド」
チヒロがうるうると揺れる瞳で俺を見上げた。
「僕、僕、ほんとにロイドのことが心配で。だって・・生徒会長たちのいう通りに進んだらロイドは、もう二度と僕のもとには帰ってきてくれないってことだろう?僕は、そんなのは、嫌だ!」
「チヒロ?」
「僕は、ずっとロイドに側にいて欲しいし、僕もロイドの側にいたい!」
チヒロが俺の胸元に顔をよせた。
「僕は・・ロイドと一緒に生きていきたい」
「チヒロ・・・」
俺は、チヒロの肩に手を置いた。
チヒロの体は、震えていた。
お茶会の間、チヒロは、俺に友人のマデリン姫や、ルシ-ディア姫、それにユーリス様を自ら紹介してくれた。
「マデリン姫は、すごく賢いんだ。僕の知らないことをいろいろ知ってて教えてくれるんだ」
「まあ、チヒロったら」
マデリン姫が恥ずかしそうに微笑んだ。
「私、それほど物知りでもないですのよ。きっとロイド様の方がいろいろ世間を知っておられるでしょうし」
「そうだな」
ルシ-ディア姫が頷いた。
「私も、ぜひ、ロイド殿に魔界のことなどきいてみたい」
「私は、ロイド様に薬草についておききしたいですわ」
ユーリス様が俺に訊ねた。
「あの、エリクサーに使われているという魔界の薬草は、地上でも育てることは可能でしょうか?」
「あの薬に使われている薬草は特別でね。魔界、というか奈落の魔素を養分として成長するんだ。だから、地上ではちょっと育てるのは難しいかもしれないな」
俺は、答えながらチヒロをちらっと見た。
リータは、別のテーブルに案内されている。
さっき確認したらよくは知らないがおそらく身分のそこそこある男たちに囲まれてちやほやされていた。
俺は、俺を熱い眼差しで見つめている3人の美少女に視線を戻すと告げた。
「悪いんだが急用を思い出した。俺は、先に失礼するがチヒロとリータは、ゆっくりとお茶会を楽しませてもらうといい」
俺は、そう言うとすぐに立ち上がってその場から歩み去った。
「待って!」
すぐに後をチヒロが追いかけてくる。
早足で歩く俺に追い付こうと小走りでやってきたチヒロは、俺の上着の裾を握りしめて俺を引き留めた。
「ロイド!」
「なんだ?チヒロ」
俺は、振りかえるとチヒロを冷たい目で見た。
「俺を女たちに売るつもりならお断りだ。あの連中と話したいならお前だけで楽しんでくるがいい」
「別に、そんなつもりじゃ」
チヒロは、泣きそうな顔をしてうつむいた。
「ただ、リータが、さ。もし、ロイドに恋人がいれば、ロイドも生徒会長たちの申し出を断るんじゃないかっていうから」
「だから、お前が女衒のまねごとをしてるのか?」
俺は、リータに対する憤りで胸が悪くなる。
何を考えるのも自由だが、チヒロにおかしなことを吹き込みやがって!
「怒らないで、ロイド」
チヒロがうるうると揺れる瞳で俺を見上げた。
「僕、僕、ほんとにロイドのことが心配で。だって・・生徒会長たちのいう通りに進んだらロイドは、もう二度と僕のもとには帰ってきてくれないってことだろう?僕は、そんなのは、嫌だ!」
「チヒロ?」
「僕は、ずっとロイドに側にいて欲しいし、僕もロイドの側にいたい!」
チヒロが俺の胸元に顔をよせた。
「僕は・・ロイドと一緒に生きていきたい」
「チヒロ・・・」
俺は、チヒロの肩に手を置いた。
チヒロの体は、震えていた。
10
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました
厘/りん
BL
ナルン王国の下町に暮らす ルカ。
この国は一部の人だけに使える魔法が神様から贈られる。ルカはその一人で武器や防具、アクセサリーに『加護』を付けて売って生活をしていた。
ある日、配達の為に下町を歩いていたら指輪が落ちていた。見覚えのある指輪だったので届けに行くと…。
国を救った英雄(強面の可愛い物好き)と出生に秘密ありの痩せた青年のお話。
☆英雄騎士 現在28歳
ルカ 現在18歳
☆第11回BL小説大賞 21位
皆様のおかげで、奨励賞をいただきました。ありがとう御座いました。
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる