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第3章 神都の覇者
3ー9 紹介
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3ー9 紹介
お茶会の当日。
いつもよりこましな服装をして俺は、リータを伴ってチヒロについて馬車で会場へと向かった。
ユーリス・ローサンダーの屋敷は、神都ライヒバーンでも神族の血族が住んでいる地区の一角にあった。
立派なちょっとした小さめの城といった感じのローサンダー家の門を入ると使用人たちと一緒にユーリスも玄関で出迎えてくれた。
馬車から降り立った俺たちに美しい純白のドレス姿のユーリスがペコリとお辞儀をした。
「ヘルレイザ-辺境伯、それにチヒロ、よくいらしてくださいましたね」
俺は、ユーリスの手をとると軽く口づけする。
「お招きに預かって感謝します、ユーリス様」
「どうか、ユーリスとお呼びくださいませ」
頬をピンクに染めたユーリスが潤んだ瞳で俺を見上げていた。
俺は、にっこりと微笑む。
「では、俺のこともロイドとお呼びください」
ユーリスは、俺たちを庭へと案内した。
そこには、他にも数人の美しい姫君たちが集っていた。
みな、ちらちらとこちらをうかがっている。
ユーリスは、チヒロに訊ねる。
「みなにロイド様のことを紹介したいのだけどお借りしてもいいかしら?」
チヒロは、笑顔で頷く。
俺は、リータとチヒロを残してユーリスと一緒に女たちの中へと入っていった。
それからのことはあまり覚えていない。
次から次へとドレス姿の美しい姫君たちを紹介されたのは覚えているが、どの姫君も特には印象に残らなかった。
そのうち数人は、俺にそっと美しい刺繍の施されたハンカチなどを手渡してくる。
俺は、笑顔でそれをかわしながらユーリスについていった。
自分の名を記したハンカチは、令嬢たちにとっては、名刺のようなものだ。
それを受けとるということは、よろしくされるという意味があった。
つまり、男としてその令嬢に関心があると認めることになるのだ。
その場にいたほぼすべての令嬢を紹介し終わるとユーリスは、俺を解放してくれた。
俺は、チヒロたちの待つテーブルへと戻った。
チヒロは、少しポッチャリした赤毛の可愛らしい少女と、お茶を飲みながら話していたが俺が戻ってくるのを見てぱっと顔をほころばした。
「ロイド」
「そちらの方は?」
俺がきくとチヒロが紹介してくれた。
「この方は、マデリン・リザ-ディア姫」
「初めまして、ヘルレイザ-辺境伯」
マデリンが立ち上がって俺に礼をとった。
美しい流れるような所作だ。
俺も彼女の手をとりそっと口づける。
マデリンは、俺の手に手のひらを預けたままぽぅっと俺のことを見つめている。
チヒロがなぜか不機嫌そうに俺に告げた。
「お茶がさめるよ、ロイド」
お茶会の当日。
いつもよりこましな服装をして俺は、リータを伴ってチヒロについて馬車で会場へと向かった。
ユーリス・ローサンダーの屋敷は、神都ライヒバーンでも神族の血族が住んでいる地区の一角にあった。
立派なちょっとした小さめの城といった感じのローサンダー家の門を入ると使用人たちと一緒にユーリスも玄関で出迎えてくれた。
馬車から降り立った俺たちに美しい純白のドレス姿のユーリスがペコリとお辞儀をした。
「ヘルレイザ-辺境伯、それにチヒロ、よくいらしてくださいましたね」
俺は、ユーリスの手をとると軽く口づけする。
「お招きに預かって感謝します、ユーリス様」
「どうか、ユーリスとお呼びくださいませ」
頬をピンクに染めたユーリスが潤んだ瞳で俺を見上げていた。
俺は、にっこりと微笑む。
「では、俺のこともロイドとお呼びください」
ユーリスは、俺たちを庭へと案内した。
そこには、他にも数人の美しい姫君たちが集っていた。
みな、ちらちらとこちらをうかがっている。
ユーリスは、チヒロに訊ねる。
「みなにロイド様のことを紹介したいのだけどお借りしてもいいかしら?」
チヒロは、笑顔で頷く。
俺は、リータとチヒロを残してユーリスと一緒に女たちの中へと入っていった。
それからのことはあまり覚えていない。
次から次へとドレス姿の美しい姫君たちを紹介されたのは覚えているが、どの姫君も特には印象に残らなかった。
そのうち数人は、俺にそっと美しい刺繍の施されたハンカチなどを手渡してくる。
俺は、笑顔でそれをかわしながらユーリスについていった。
自分の名を記したハンカチは、令嬢たちにとっては、名刺のようなものだ。
それを受けとるということは、よろしくされるという意味があった。
つまり、男としてその令嬢に関心があると認めることになるのだ。
その場にいたほぼすべての令嬢を紹介し終わるとユーリスは、俺を解放してくれた。
俺は、チヒロたちの待つテーブルへと戻った。
チヒロは、少しポッチャリした赤毛の可愛らしい少女と、お茶を飲みながら話していたが俺が戻ってくるのを見てぱっと顔をほころばした。
「ロイド」
「そちらの方は?」
俺がきくとチヒロが紹介してくれた。
「この方は、マデリン・リザ-ディア姫」
「初めまして、ヘルレイザ-辺境伯」
マデリンが立ち上がって俺に礼をとった。
美しい流れるような所作だ。
俺も彼女の手をとりそっと口づける。
マデリンは、俺の手に手のひらを預けたままぽぅっと俺のことを見つめている。
チヒロがなぜか不機嫌そうに俺に告げた。
「お茶がさめるよ、ロイド」
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