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第3章 神都の覇者
3ー7 それでいい
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3ー7 それでいい
「確かにキルヒを解放すればこの神都ライヒバーンは、崩壊する」
マジですか?
俺は、飲んでいたお茶を喉につまらせて咳き込んだ。
「ロイド、大丈夫?」
チヒロが俺の背中を叩いた。
俺は、チヒロに大丈夫、と答えると再び顔をあげてカイロバーンを睨んだ。
「俺たちをはめる気か?」
「心外だな。そんなつもりはないよ」
カイロバーンが平然として応じる。
「まあ、核であるキルヒを解放すればこの神都は、機能を停止することになるが」
「代わりの核を差し出せば大丈夫だ」
サイラスに言われて俺は、問うた。
「あんたたちの妹の代わり?」
「そうだ」
カイロバーンが微笑んだ。
「キルヒが解放された後、君が核になればいいんだ」
はいぃっ?
俺は、信じられないものを見るような目で二人を見た。
「なんで俺が?」
「他に候補になりそうな者がいない」
カイロバーンが俺に微笑みかけた。
「キルヒの神力に匹敵するのは、魔界の辺境伯といわれる君ぐらいしかいないんだ」
「そんなこと!」
俺は、抗議した。
「できるわけがないだろうが!」
「いや。できるさ」
サイラスが笑顔で告げる。
「君なら。君の主であるチヒロを守るためなら君は、その体を差し出すはずだ
」
「もし、君が了承してくれれば私たちがチヒロの後見になろう。だが、もし、断るなら」
カイロバーンの音葉をサイラスが継いだ。
「この私たちが君たちをここから追放することになる」
マジかよ!
俺は、怒りに我を忘れそうになっていた。
だが。
俺は、ふぅっと吐息をはいた。
「・・いいだろう。お前たちの妹の代わりに俺が生け贄になってやる。そのかわり、チヒロのことをこの世界のすべてから守るんだぞ。いいな!絶対に、だ!」
「了承した」
カイロバーンが頷いた。
こうして俺たちは、契約を結んだ。
生徒会室から家へと帰る道すがらチヒロが俺に思い詰めた表情でいった。
「僕・・僕は、やっぱり嫌だ」
「何が?」
俺がきくとチヒロが涙に潤んだ瞳を俺に向けた。
「僕は、ロイドを犠牲にしてまでこの学園にいたくない!」
「犠牲なんて」
俺は、チヒロに笑いかけた。
「大丈夫、だ。お前が心配することはない、チヒロ」
「でも・・」
泣きそうなチヒロの頬に俺は、そっと指先で触れた。
あたたかい。
「俺がお前のために自分を犠牲にするようなことがあるとでも?バカにするな。俺は、俺のためにやっているだけだ。すべては、俺のためだ」
俺は、チヒロの頬を優しく撫でた。
「わかったか?お前が心配するようなことは何もないんだ」
「ロイド」
俺は、思わずチヒロを抱き締めたくなった。
だが、やめておいた。
リータの奴がにやにやと笑いながら俺たちを見ていた。
俺は、家につくとすぐに自分の執務室へと向かった。
リータは、俺の後をついてきた。
「ほんとにいいのかえ?」
「何が?」
俺がどすんとデスクの前の椅子に腰かけるとリータが俺の目の前に迫ってきた。
「もし、あの連中の申し出を受けたらあんたは、龍人どころか人間ですらいられなくなってしまうんだよ?」
「ああ」
俺は、リータに向かって頷いた。
「それでもいいんだ」
俺は、チヒロが無事ならそれでいい。
そう。
俺は、思っていた。
いつのまにか、こんなにもチヒロは、俺の中に入り込んでいた。
「俺は、こんな体だし、もう、国にも帰れない。だけど、チヒロは、違う」
俺は、リータに話した。
「俺は、チヒロが無事ならそれでいい」
「確かにキルヒを解放すればこの神都ライヒバーンは、崩壊する」
マジですか?
俺は、飲んでいたお茶を喉につまらせて咳き込んだ。
「ロイド、大丈夫?」
チヒロが俺の背中を叩いた。
俺は、チヒロに大丈夫、と答えると再び顔をあげてカイロバーンを睨んだ。
「俺たちをはめる気か?」
「心外だな。そんなつもりはないよ」
カイロバーンが平然として応じる。
「まあ、核であるキルヒを解放すればこの神都は、機能を停止することになるが」
「代わりの核を差し出せば大丈夫だ」
サイラスに言われて俺は、問うた。
「あんたたちの妹の代わり?」
「そうだ」
カイロバーンが微笑んだ。
「キルヒが解放された後、君が核になればいいんだ」
はいぃっ?
俺は、信じられないものを見るような目で二人を見た。
「なんで俺が?」
「他に候補になりそうな者がいない」
カイロバーンが俺に微笑みかけた。
「キルヒの神力に匹敵するのは、魔界の辺境伯といわれる君ぐらいしかいないんだ」
「そんなこと!」
俺は、抗議した。
「できるわけがないだろうが!」
「いや。できるさ」
サイラスが笑顔で告げる。
「君なら。君の主であるチヒロを守るためなら君は、その体を差し出すはずだ
」
「もし、君が了承してくれれば私たちがチヒロの後見になろう。だが、もし、断るなら」
カイロバーンの音葉をサイラスが継いだ。
「この私たちが君たちをここから追放することになる」
マジかよ!
俺は、怒りに我を忘れそうになっていた。
だが。
俺は、ふぅっと吐息をはいた。
「・・いいだろう。お前たちの妹の代わりに俺が生け贄になってやる。そのかわり、チヒロのことをこの世界のすべてから守るんだぞ。いいな!絶対に、だ!」
「了承した」
カイロバーンが頷いた。
こうして俺たちは、契約を結んだ。
生徒会室から家へと帰る道すがらチヒロが俺に思い詰めた表情でいった。
「僕・・僕は、やっぱり嫌だ」
「何が?」
俺がきくとチヒロが涙に潤んだ瞳を俺に向けた。
「僕は、ロイドを犠牲にしてまでこの学園にいたくない!」
「犠牲なんて」
俺は、チヒロに笑いかけた。
「大丈夫、だ。お前が心配することはない、チヒロ」
「でも・・」
泣きそうなチヒロの頬に俺は、そっと指先で触れた。
あたたかい。
「俺がお前のために自分を犠牲にするようなことがあるとでも?バカにするな。俺は、俺のためにやっているだけだ。すべては、俺のためだ」
俺は、チヒロの頬を優しく撫でた。
「わかったか?お前が心配するようなことは何もないんだ」
「ロイド」
俺は、思わずチヒロを抱き締めたくなった。
だが、やめておいた。
リータの奴がにやにやと笑いながら俺たちを見ていた。
俺は、家につくとすぐに自分の執務室へと向かった。
リータは、俺の後をついてきた。
「ほんとにいいのかえ?」
「何が?」
俺がどすんとデスクの前の椅子に腰かけるとリータが俺の目の前に迫ってきた。
「もし、あの連中の申し出を受けたらあんたは、龍人どころか人間ですらいられなくなってしまうんだよ?」
「ああ」
俺は、リータに向かって頷いた。
「それでもいいんだ」
俺は、チヒロが無事ならそれでいい。
そう。
俺は、思っていた。
いつのまにか、こんなにもチヒロは、俺の中に入り込んでいた。
「俺は、こんな体だし、もう、国にも帰れない。だけど、チヒロは、違う」
俺は、リータに話した。
「俺は、チヒロが無事ならそれでいい」
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