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第3章 神都の覇者

3ー5 失われた力

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 3ー5 失われた力

 「私の名前は、カイロバーン・リザイアス。このウルマグライン魔法学園の初代生徒会長であり現生徒会長でもある神族に連なる者だ」
 左側に座った少年が話した。
 続いて右側に座った少年が口を開いた。
 「私は、サイラス・リザイアス。このウルマグライン魔法学園の副会長であり、カイロバーンの魂を分けた弟だ」
 こういっている間もつねに二人は手を絡み合わせている。
 妙にうすら寒い感じがしていた。
 この二人は、危険だ。
 リータが美しい額にシワを寄せた。
 「その生徒会の長とその腰巾着がうちの主さんになんのようがあるというんだい?」
リータの言葉に二人は、顔を見合わせてクスクスと笑った。
 「君は、もう気づいているのでは?」
 「私たちの望みを知っているのでは?」
  なんなんだ?
 俺は、リータと双子を代わる代わる見ていた。
 こいつら、何を言っているんだ?
  俺は、背筋が寒くなった。
 とにかく、こいつら、普通じゃない!
 俺は、チヒロとリータに告げた。
 「帰るぞ!」
 「待って!」
 背を向けた俺に生徒会長たちが呼び掛けた。
 「お願いだから」
 「お前たちは、いったい、なんなんだ?」
 俺は、二人を振り向くと訊ねた。
 「俺たちに何を望む?」
 「私たちは」
 二人が 手を取り合って俺たちを見上げた。
  「この子の力が必要なのだ」
 この子?
 俺は、チヒロを見た。
 もしかして、こいつらもチヒロを必要としている?
 チヒロが小首を傾げる。
 「ロイド、僕、この人たちが悪い人には見えないんだけど」
 マジか?
 俺は、信じられない思いでチヒロを見ていた。
 チヒロは、にっこりと微笑んだ。
 「話だけでもきいてみようよ」
 俺たちは、生徒会長たちに進められて嫌だったがソファに面した椅子に腰かけた。
 俺とチヒロは、二人がけの椅子に、リータは、その横にあった椅子に腰かけた。
 「で?話ってなんだ?」
 俺が訊ねると、二人は、また顔を見合わせ、そして、話し始めた。
 「私たちと取引をしてもらいたい」
 「君たちの穏便な学生生活と引き換えに、私たちの望みを叶えて欲しい」
 「望みって?」
 チヒロがきくと、二人は答えた。
 「この神都ライヒバーンの崩落を」
 なんですと?
 俺は、リータを顔を見合わせた。
 こいつら、とんでもないことをいってるぞ?
 俺は、きっ、と二人を睨み付けた。
 「犯罪に手を貸すことはできないな」
 「犯罪ではない」
 生徒会長が応じた。
 「ただ私たちの失われたものを取り戻したいだけだ」
 「そうだ」
 副生徒会長も話した。
 「ここの支配者たちは、私たちからキルヒを奪った。私たちは、それを取り戻したい」
 「キルヒ?」
 チヒロがきくと二人は頷いた。
 「そうだ」
 「キルヒは、私たちのもう一人の兄弟。私たちの失われた力だ」
 
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