29 / 85
第2章 騎士と少年
2ー12 マイヒナ
しおりを挟む
2ー12 マイヒナ
神都ライヒバーンは、東の小国クルマシア神王国の上空に存在する。
クルマシア神王国は、小さな国だが強力な軍事力を誇る国だ。
なんでも創造神ウルマジアがこの世界を創る際に1番最初に創った場所であり、この場所にウルマジア神のための神殿を創るようにと命じたのだという。
それ故、このクルマシア神王国は、他の国とは違い、信仰によってなりたっている国だ。
王は、ウルマジア神の神殿の大神官を兼ねており王ではなく教皇と呼ばれている。
このクルマシア神王国の中心にあるウルマジア神の大神殿の中に神都ライヒバーンへと繋がる転移ゲートがあり、全ての神都ライヒバーンを目指す者は、そのゲートから神都へと入る。
それ以外には、神都ライヒバーンに到達する 方法は、ない。
そのため、この小さな国は、いつも旅人で賑わっている。
俺たちは、奈落を出てからほぼ一ヶ月かけてこの都までやってきた。
俺たちがクルマシア神王国に到着したのは、もう辺りが暗くなってきた頃のことだった。
俺たちは、『ヒポクラティス』商会の馬車で旅をしていた。
リータは、まずこのクルマシア神王国の王都であるクルージアにある『ヒポクラティス』商会の支店へと向かった。
今や、全世界に『ヒポクラティス』商会の支店は、つくられていた。
俺たちが到着すると支店長である小男が出迎えてくれた。
というか、子供にしか見えない。
「よくおいでくださいました、会頭、リータ様」
その子供は、マイヒナ・グラスと名乗った。
人間ではない。
緑の髪をしたとがり耳のエルフだった。
俺は、奈落を離れられなかったから『ヒポクラティス』商会の拡大に尽力してくれたのはリータだった。
それぞれの支店を任されているのはリータが選んだ者だ。
つまりただ者ではない。
マイヒナは、子供にしか見えないがすでに100年は、生きている。
マイヒナは、俺たちをこの街で1番大きな宿屋へと案内した。
街は、常に神都ライヒバーンを目指す旅人で賑わっている。
俺は、正直、今日の宿のことは諦めていたのだが、マイヒナのおかげで最高級の宿に宿泊できることになった。
マイヒナは、俺たちを宿屋の最上階にあるいわゆるスウィートルームへと通すと、部屋つきのメイドに命じてお茶を用意させるとそれぞれソファにくつろいでいる俺たちを見回した。
「神都ライヒバーンへの出発は、明日の朝になります。それまでは、ここでゆっくりとすごされてください」
「これからは、このマイヒナに神都ライヒバーンで暮らす私たちと外界の連絡係をしてもらうことになる」
リータが俺に説明した。
俺は、頷くとマイヒナを見た。
「よろしく頼むよ、マイヒナ」
マイヒナは、美しい礼をとる。
「なんでも言ってください。このマイヒナに任せていただけば、なんでもご用意いたします」
マジか。
俺は、心強いマイヒナの言葉に不安が少し和らぐのを感じていた。
神都ライヒバーンは、東の小国クルマシア神王国の上空に存在する。
クルマシア神王国は、小さな国だが強力な軍事力を誇る国だ。
なんでも創造神ウルマジアがこの世界を創る際に1番最初に創った場所であり、この場所にウルマジア神のための神殿を創るようにと命じたのだという。
それ故、このクルマシア神王国は、他の国とは違い、信仰によってなりたっている国だ。
王は、ウルマジア神の神殿の大神官を兼ねており王ではなく教皇と呼ばれている。
このクルマシア神王国の中心にあるウルマジア神の大神殿の中に神都ライヒバーンへと繋がる転移ゲートがあり、全ての神都ライヒバーンを目指す者は、そのゲートから神都へと入る。
それ以外には、神都ライヒバーンに到達する 方法は、ない。
そのため、この小さな国は、いつも旅人で賑わっている。
俺たちは、奈落を出てからほぼ一ヶ月かけてこの都までやってきた。
俺たちがクルマシア神王国に到着したのは、もう辺りが暗くなってきた頃のことだった。
俺たちは、『ヒポクラティス』商会の馬車で旅をしていた。
リータは、まずこのクルマシア神王国の王都であるクルージアにある『ヒポクラティス』商会の支店へと向かった。
今や、全世界に『ヒポクラティス』商会の支店は、つくられていた。
俺たちが到着すると支店長である小男が出迎えてくれた。
というか、子供にしか見えない。
「よくおいでくださいました、会頭、リータ様」
その子供は、マイヒナ・グラスと名乗った。
人間ではない。
緑の髪をしたとがり耳のエルフだった。
俺は、奈落を離れられなかったから『ヒポクラティス』商会の拡大に尽力してくれたのはリータだった。
それぞれの支店を任されているのはリータが選んだ者だ。
つまりただ者ではない。
マイヒナは、子供にしか見えないがすでに100年は、生きている。
マイヒナは、俺たちをこの街で1番大きな宿屋へと案内した。
街は、常に神都ライヒバーンを目指す旅人で賑わっている。
俺は、正直、今日の宿のことは諦めていたのだが、マイヒナのおかげで最高級の宿に宿泊できることになった。
マイヒナは、俺たちを宿屋の最上階にあるいわゆるスウィートルームへと通すと、部屋つきのメイドに命じてお茶を用意させるとそれぞれソファにくつろいでいる俺たちを見回した。
「神都ライヒバーンへの出発は、明日の朝になります。それまでは、ここでゆっくりとすごされてください」
「これからは、このマイヒナに神都ライヒバーンで暮らす私たちと外界の連絡係をしてもらうことになる」
リータが俺に説明した。
俺は、頷くとマイヒナを見た。
「よろしく頼むよ、マイヒナ」
マイヒナは、美しい礼をとる。
「なんでも言ってください。このマイヒナに任せていただけば、なんでもご用意いたします」
マジか。
俺は、心強いマイヒナの言葉に不安が少し和らぐのを感じていた。
10
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
イケメン俳優は万年モブ役者の鬼門です
はねビト
BL
演技力には自信があるけれど、地味な役者の羽月眞也は、2年前に共演して以来、大人気イケメン俳優になった東城湊斗に懐かれていた。
自分にはない『華』のある東城に対するコンプレックスを抱えるものの、どうにも東城からのお願いには弱くて……。
ワンコ系年下イケメン俳優×地味顔モブ俳優の芸能人BL。
外伝完結、続編連載中です。
夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト
春音優月
BL
真面目でおとなしい性格の藤村歩夢は、武士と呼ばれているクラスメイトの大谷虎太郎に密かに片想いしている。
クラスではほとんど会話も交わさないのに、なぜか毎晩歩夢の夢に出てくる虎太郎。しかも夢の中での虎太郎は、歩夢を守る騎士で恋人だった。
夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト。夢と現実が交錯する片想いの行方は――。
2024.02.23〜02.27
イラスト:かもねさま

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます
オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。
魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる