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第2章 騎士と少年
2ー5 提言
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2ー5 提言
それから一年ぐらいは、あっという間にすぎた。
俺は、新しく目覚めた能力も行使して色々な薬草を使った体にいいサプリみたいなものを造った。
値段は、数個単位で銅貨3~5枚ぐらい。
この医療の遅れた世界においては例え健康食品であろうともとても喜ばれた。
実際、栄養食品とはいえかなり薬に近かった。
確かにサプリメントとはいえちゃんとした薬草を使っているし、品質は保証できる。
これを薬といわないのは、この世界の治癒術師に配慮してのことだ。
この世界には、医師はいない。
病気は、全て教会の治癒術師が治している。
薬も、教会が扱っていてその料金は、決して安くはない。
だから、『ヒポクラティス』商会の提供する健康食品は、歓迎された。
まあ、教会からは、よくは思われてはいないんだろうが、今のところは目こぼしをうけている。
それは、俺が魔界の貴族だからだった。
教会からすれば、魔界は、異界だ。
治外法権である俺が薬ではない、健康にいいただの食品を売っていることは、教会からしたら苦々しい思いで見ているのかもしれないが口出しはできないのだ。
俺が商会を拡大している間、チヒロは、俺の従者の仕事をしながらアントワープさんから勉強を教わっていた。
従者として俺について学園に入学するチヒロには、入学試験などはなかった。
だけど、最低限の学力は必要だ。
それだけではなかった。
王族として必用と思われる様々なことをリータとアントワープさんは、チヒロに教育していった。
もちろんその間も俺の従者としての仕事は続けているからチヒロは、寝る間もない様子だった。
ある日のことだ。
俺が薬草畑を視察して戻ると、屋敷の俺の執務室のソファに崩れ落ちるようにしてチヒロが眠っていた。
ほんとは、リータにばれたらチヒロは、しかられることだろう。
俺は、着ていた上着を脱ぐとそれを眠っているチヒロにそっとかけた。
そんなことがあって、俺は、リータたちに少しチヒロを休ませる方がいいと提言した。
リータは、時間がない、と言ったが、俺は、譲らなかった。
せめて7時間の睡眠時間は確保してほしい。
チヒロの健康のためだと言うと、リータたちも俺の提言を受け入れてくれた。
しかし。
春が近づくにつれ、俺もチヒロと一緒に入学試験の勉強に励むことになった。
俺は、もう19才だし成績はともかくすでに一度はアイヒミューゼン王国の貴族のための魔法学園を最下位とはいえ卒業していた。
だが、これから受ける神都ライヒバーンにあるウルマグライン魔法学園は、この世界の最高峰の学園だ。
少しは、備えておかなくては。
座学は、問題なかった。
だが。
魔力なしで魔法の試験はレポートの提出で乗り切った俺は、龍人になった今もやはり魔法は、苦手意識が少なからずあるのだ。
俺は、チヒロとともにリータから魔法の講義を受けた。
もちろんチヒロは、魔法がまったく使えない。
それどころかチヒロの側ではリータですら魔法が使えなかった。
魔法の実技は、チヒロのいないところでリータから実践形式で叩き込まれた。
剣技は、ミリーとラミーが先生だった。
それから一年ぐらいは、あっという間にすぎた。
俺は、新しく目覚めた能力も行使して色々な薬草を使った体にいいサプリみたいなものを造った。
値段は、数個単位で銅貨3~5枚ぐらい。
この医療の遅れた世界においては例え健康食品であろうともとても喜ばれた。
実際、栄養食品とはいえかなり薬に近かった。
確かにサプリメントとはいえちゃんとした薬草を使っているし、品質は保証できる。
これを薬といわないのは、この世界の治癒術師に配慮してのことだ。
この世界には、医師はいない。
病気は、全て教会の治癒術師が治している。
薬も、教会が扱っていてその料金は、決して安くはない。
だから、『ヒポクラティス』商会の提供する健康食品は、歓迎された。
まあ、教会からは、よくは思われてはいないんだろうが、今のところは目こぼしをうけている。
それは、俺が魔界の貴族だからだった。
教会からすれば、魔界は、異界だ。
治外法権である俺が薬ではない、健康にいいただの食品を売っていることは、教会からしたら苦々しい思いで見ているのかもしれないが口出しはできないのだ。
俺が商会を拡大している間、チヒロは、俺の従者の仕事をしながらアントワープさんから勉強を教わっていた。
従者として俺について学園に入学するチヒロには、入学試験などはなかった。
だけど、最低限の学力は必要だ。
それだけではなかった。
王族として必用と思われる様々なことをリータとアントワープさんは、チヒロに教育していった。
もちろんその間も俺の従者としての仕事は続けているからチヒロは、寝る間もない様子だった。
ある日のことだ。
俺が薬草畑を視察して戻ると、屋敷の俺の執務室のソファに崩れ落ちるようにしてチヒロが眠っていた。
ほんとは、リータにばれたらチヒロは、しかられることだろう。
俺は、着ていた上着を脱ぐとそれを眠っているチヒロにそっとかけた。
そんなことがあって、俺は、リータたちに少しチヒロを休ませる方がいいと提言した。
リータは、時間がない、と言ったが、俺は、譲らなかった。
せめて7時間の睡眠時間は確保してほしい。
チヒロの健康のためだと言うと、リータたちも俺の提言を受け入れてくれた。
しかし。
春が近づくにつれ、俺もチヒロと一緒に入学試験の勉強に励むことになった。
俺は、もう19才だし成績はともかくすでに一度はアイヒミューゼン王国の貴族のための魔法学園を最下位とはいえ卒業していた。
だが、これから受ける神都ライヒバーンにあるウルマグライン魔法学園は、この世界の最高峰の学園だ。
少しは、備えておかなくては。
座学は、問題なかった。
だが。
魔力なしで魔法の試験はレポートの提出で乗り切った俺は、龍人になった今もやはり魔法は、苦手意識が少なからずあるのだ。
俺は、チヒロとともにリータから魔法の講義を受けた。
もちろんチヒロは、魔法がまったく使えない。
それどころかチヒロの側ではリータですら魔法が使えなかった。
魔法の実技は、チヒロのいないところでリータから実践形式で叩き込まれた。
剣技は、ミリーとラミーが先生だった。
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