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第2章 騎士と少年
2ー1 ヘルムス
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2ー1 ヘルムス
アルアロイの命令で俺とチヒロが奈落を出て行くことになったのは、初めて俺がアルアロイと対面してから二年後のことだった。
俺は、その二年の間に魔界の辺境伯を名乗るようになっていた。
ロイド・ヘルレイザー辺境伯
それが俺の新しい名前だった。
アルアロイは、どういう手を使ったのか知らないが俺を魔界の貴族に仕立ててしまった。
そして、俺は、アルアロイに与えられた地位と財力を利用して地上との交易を始めた。
この奈落には、ここにしかない薬草がいくつかある。
俺は、その薬草をブレンドしてお茶を開発した。
もちろんアルアロイの協力もあった。
だが、ほとんどの知識は、俺の転生前の知識だった。
どうやら俺は、植物オタクというか、ハーブの研究などをしていたようだ。
俺は、奈落で採取できる薬草をブレンドして作ったお茶を『延命茶』と名付けて地上へ広めていった。
このお茶は、ちょっとした栄養ドリンク並みの効き目がある。
クルスの知り合いの商人の手で地上に持ち込まれた『延命茶』は、薬が買えない貧乏人からより効能の高い薬を求める貴族にまで広く受け入れられていった。
俺は、他にも様々な健康食品を開発していった。
ダイエット食品から栄養補助食品。
それに体の中から瘴気を浄化するサプリメントも売り出した。
瘴気のための病で苦しんでいる人々は、とても多くいる。
そういう人々が俺の売り出した商品に群がってきた。
俺は、奈落から発信した健康食品をあつかう商会を設立した。
商会の名は、『 ヒポクラティス』
商会の紋章は、杖に絡み付いた蛇だ。
それは、アルアロイのことでもあった。
アルアロイは、俺が起こした商売を興味深く見守っていた。
俺は、2年の間に商会を世界規模で拡大していった。
医療らしいものがほとんどなかったこの世界で人々は、俺が提供する健康食品を頼るようになっていた。
それは、教会の与える治癒の魔法や、ポーション、エリクサーとは違い、扱いやすく、そして何より生活に近かった。
いつの間にか『ヒポクラティス』商会は、世界で一番のシェアを誇る健康食品の店になっていた。
俺は、奈落の比較的安全な辺りに屋敷を建てて移り住んだ。
そこは、奈落の20階層にある広い荒野だったのだが、俺が手を入れて広大な薬草農園を作り上げていた。
いつしか畑の近隣には、そこで働く魔族や魔物の村ができた。
人々は、その村をヘルムスと呼ぶようになっていた。
ヘルレイザ-辺境伯の造った村という魔族の言葉からきているらしい。
ヘルムスの屋敷に移った俺のもとには、アルアロイの連絡係兼俺の助手としてやってきたリータと彼女が呼び寄せた仲間たちが集っていた。
アルアロイの命令で俺とチヒロが奈落を出て行くことになったのは、初めて俺がアルアロイと対面してから二年後のことだった。
俺は、その二年の間に魔界の辺境伯を名乗るようになっていた。
ロイド・ヘルレイザー辺境伯
それが俺の新しい名前だった。
アルアロイは、どういう手を使ったのか知らないが俺を魔界の貴族に仕立ててしまった。
そして、俺は、アルアロイに与えられた地位と財力を利用して地上との交易を始めた。
この奈落には、ここにしかない薬草がいくつかある。
俺は、その薬草をブレンドしてお茶を開発した。
もちろんアルアロイの協力もあった。
だが、ほとんどの知識は、俺の転生前の知識だった。
どうやら俺は、植物オタクというか、ハーブの研究などをしていたようだ。
俺は、奈落で採取できる薬草をブレンドして作ったお茶を『延命茶』と名付けて地上へ広めていった。
このお茶は、ちょっとした栄養ドリンク並みの効き目がある。
クルスの知り合いの商人の手で地上に持ち込まれた『延命茶』は、薬が買えない貧乏人からより効能の高い薬を求める貴族にまで広く受け入れられていった。
俺は、他にも様々な健康食品を開発していった。
ダイエット食品から栄養補助食品。
それに体の中から瘴気を浄化するサプリメントも売り出した。
瘴気のための病で苦しんでいる人々は、とても多くいる。
そういう人々が俺の売り出した商品に群がってきた。
俺は、奈落から発信した健康食品をあつかう商会を設立した。
商会の名は、『 ヒポクラティス』
商会の紋章は、杖に絡み付いた蛇だ。
それは、アルアロイのことでもあった。
アルアロイは、俺が起こした商売を興味深く見守っていた。
俺は、2年の間に商会を世界規模で拡大していった。
医療らしいものがほとんどなかったこの世界で人々は、俺が提供する健康食品を頼るようになっていた。
それは、教会の与える治癒の魔法や、ポーション、エリクサーとは違い、扱いやすく、そして何より生活に近かった。
いつの間にか『ヒポクラティス』商会は、世界で一番のシェアを誇る健康食品の店になっていた。
俺は、奈落の比較的安全な辺りに屋敷を建てて移り住んだ。
そこは、奈落の20階層にある広い荒野だったのだが、俺が手を入れて広大な薬草農園を作り上げていた。
いつしか畑の近隣には、そこで働く魔族や魔物の村ができた。
人々は、その村をヘルムスと呼ぶようになっていた。
ヘルレイザ-辺境伯の造った村という魔族の言葉からきているらしい。
ヘルムスの屋敷に移った俺のもとには、アルアロイの連絡係兼俺の助手としてやってきたリータと彼女が呼び寄せた仲間たちが集っていた。
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