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第12章 二人の聖女

12ー1 晩餐会

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 12ー1 晩餐会

 「でも、どういうことなのかしら?」
 セシリア様が晩餐会のとき、そっと囁いた。
 「以前は、最強の聖女候補といわれていたのは確かにリータ様だったのに」
 「なんでもこの一年ほどの間にキルハ様が力を伸ばしてきて今では聖女候補の一人になっているらしいよ」
 エラード様が小声で答えた。
 セシリア様がエラード様に訊ねた。
 「どこの情報?」
 「どことは言えないけど確かな筋からの情報だよ」
 もごもごと応じるエラード様にセシリア様がムッとしている。
 「わかってるんですからね!あのムスタファ王国の随行しているメイドから聞いたんでしょ?ほんとに油断も隙もないんだから!」
 「ここは、情報を集めてきたんだから誉めてよ、セシリア」
 エラード様が子犬のような目でセシリア様を見つめるのを見てわたしは、吹き出してしまった。
 続いてライモンドも笑いだす。
 「もう!」
 セシリア様がぷいっとそっぽを向く。
 「知らないんだからね、エル。あなたは、いつでも他の女の子ばかり追いかけて」
 「いや」
 エラード様がテーブル越しにセシリア様の手をとった。
 「いつでも私の心は君のもとにあるんだから」
 いやいやいや!
 もう、痴話喧嘩は、その辺にしておいてほしい。
 ライモンドは、ともかくルゥとルチアが真っ赤になってうつむいている。
 二人の様子に気づいたセシリア様が咳払いをした。
 「とにかく敵は、新戦力を投入しているけど、こちらにも新戦力はいるんだから!明日の魔法戦も勝つわよ!みんな!」
 セシリア様が言うと、それぞれが頷いた。
 「たぶん明日の魔法戦には、パーティでルゥとルチアと踊ってた男の子たちが出てくると思うわ。この二人の情報は?」
 「あの二人は、ムスタファ王国の魔法学園の一年生の双子でどっちかがマルムでどっちかがアルムという名前らしい」
 エラード様がぼそぼそと告げる。
 「魔法戦は、4人対4人の集団戦だ。おそらくリータ様とキルハ様も出てくるぞ!」
 「あの!」
 ルゥが手をあげる。
 「メンバーは、こちらも向こうも6人だと聞いてました。なんで向こうは、5人なんですか?」
 「それな!」
 エラード様が難しい顔をした。
 「なんでも練習中に負傷して棄権したとかいってたな」
 
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