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第10章 兄と弟

10ー9 招き

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 10ー9 招き

 「あれ?カイラは、知らなかったの?」
 エラード様が口を挟んだ。
 「けっこうたくさんいるよね、カイラのファンクラブの会員って」
 マジか?
 わたしが驚いているとセシリア様までからかうようにいった。
 「カイラは、このサリタニア王立魔法学園で一番の人気者ですもの」
 わたしがあわあわしているとライモンドが面白くなさそうに告げた。
 「なんでカイラがそんなに好かれるのか理解できん!」
 「負け惜しみだな、ライモンド」
 エラード様がふふん、と笑った。
 こうしてワアワア言ってるうちにわたしたちを乗せた馬車は、王城へと到着した。
 王城についたわたしたちは、お茶会があるという中庭へと案内された。
 わたしたちがテーブルにつくとすぐにかわいらしいメイドさんたちがお茶を出してくれた。 
 わたしは、その美しい茶器に入ったお茶を一口飲んでほぅっと吐息をついた。
 それは、よくルシーディア様に生徒会の部屋に招かれたときに出してもらったお茶と同じ味だった。
 エラード様が 微笑みを浮かべる。
 「ああ。これは、ルシーディア様がお好きなお茶だ」
 「そうね」
 セシリア様が感慨深げに頷いた。
 ルシーディア様は、しばらくして中庭に現れた。
 以前と変わらないルシーディア様の姿にわたしは、少しほっとしていた。
 それと同時に少し不安を感じていた。
 なんでそんな平気そうな顔をしているの?
 わたしは、ルシーディア様のことをじっと見つめていた。
 ルシーディア様とわたしたちは、少しの間、和やかに会話を楽しんだ。
 そして、お茶会が終わりわたしたちが帰ろうとした頃、ルシーディア様の従者らしき少年がそっとわたしに囁いた。
 「ルドクリフ伯爵令嬢には、少しだけ残っていただきたいのですが」
 わたしは、みなと別れてその少年について王城の奥へと導びかれた。
 王城の長い廊下を進んでいくとそこにはルシーディア様の執務室があった。
 部屋に通されたわたしの前にルシーディア様が現れた。
 さっきとは違って少し疲れたような表情をしている。
 わたしは、ルシーディア様にすすめられるままにソファに腰を下ろした。
 「交流戦の準備は、順調かな?カイラ」
 いつもと変わらない穏やかで優しいルシーの言葉にわたしは、ほんわかと我知らずに微笑みを浮かべていた。
 
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