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第10章 兄と弟

10ー8 ファンクラブ

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 10ー8 ファンクラブ

 その学期の中間試験の終わる頃にムスタファ王国の魔法学園との交流戦の選手が発表された。
 騎士科からは、わたしとライモンドとエラード様が選ばれた。
 そして、魔法科からは、セシリア様と後は、わたしの知らない生徒が二人選ばれていた。
 わたしたちは、ルシーディア様から王城でのお茶会に招かれることになった。
 王城へと向かう馬車の中でセシリア様がわたしに魔法科の残り二人を紹介してくれた。
 小柄でストロベリーブロンドのかわいらしい少女ルゥ・ヘイワーズは、わたしと同じ2年生だった。
 「よろしくお願いします、カイラ様」
 内気そうに微笑むルゥにわたしもにっこりと微笑んだ。
 「カイラ・ルドクリフです。よろしくお願いします」
 「カイラ様、どうか、私のことはルゥとお呼びください」
 ルゥは、わたしに話した。
 「実は、私、カイラ様とはよく『ドリー』の大食堂でご一緒してるんですよ」
 「ほんと?」
 わたしは、ルゥをじっと見つめた。
 そういえば時々見かけるような気がする。
 「私も」
 もう一人のメガネの地味な少女も話しに入ってくる。
 「よくカイラ様と大食堂でお会いしてます」
 うん?
 この子は。
 わたしは、はっと気づいた。
 以前にアイリス様とルイーズが『ドリー』の大食堂を襲撃してきたとき、騎士たちにわたしが悪いのではないということを証言してくれた女生徒だ。
 「あなた、お名前は?」
 わたしが訊ねるとそのメガネの少女は、小声で名乗った。
 「私は、ルチア・マリーズです」
 ルチアは、マリーズ子爵家の令嬢で4年生だった。
 わたしは、ルチアに頭を下げた。
 「あのとき、わたしの味方をしてくださってありがとう。」
 「いえ、その、誤解です。あれは、私の双子の姉のフロウがしたことです」
 ルチアが慌てて応じた。
 「フロウは、私と同じ魔法科の生徒なんですがカイラ様の大ファンなんです」
 マジですか?
 わたしが目を丸くしているのを見て、ルゥも加わった。
 「そうです!私も実はカイラ様のファンクラブに入ってます!」
 わたしのファンクラブ?
 なんですか、それは?
 
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