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第7章 恋する騎士

7ー11 悪くはない

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 7ー11 悪くはない

 こうしてわたしたちの休暇は、過ぎていった。
 わたしとマオは、久しぶりにルドクリフ辺境伯の領地へと戻った。
 わたしたちを向かえてくれたアルタス様とウルティア様に抱き締められたとき、わたしは、思いきって呟いた。
 「ただいま、お父様、お母様」
 二人は、驚いたような表情を浮かべて。
 そして、もう一度、わたしを抱き締めてくれた。
 二人は、わたしをサロンにつれていくと記憶玉を取り出した。
 それは、魔法で物事を記録するための魔道具だ。
 二人が持っていた記憶玉は、わたしたちがタイタノスで演奏したときのものだった。
 領地を離れられなかったお二人のためにラティマ先生が連絡用の魔方陣で送ったものらしい。
 それを二人は、何度も何度も繰り返しごらんになったのだという。
 「ほんとにすばらしいい演奏だったわ、カイラ」
 ウルティア様の言葉にアルタス様も頷いた。
 「君が娘でわたしたちは、ほんとに鼻が高いよ」
 その日の夜は、わたしたちは、夜遅くまでつきることのない話をして過ごした。

 翌日の早朝。
 わたしは、いつものように起き出して鍛練に励んだ。
 旅の間もそれなりに体を鍛えてはいたのだが、やはり少しなまってしまったような気がしていた。
 「手合わせを」
 中庭で劍を振っていたらギリウス先生が声をかけてきた。
 わたしたちは、久しぶりに劍を交えることにした。
 何度か打ち合ううちに、わたしは、呼吸がはずんでいた。
 「王都でなまっちまったのか?」
 ギリウス先生にいわれてわたしは、劍を握り直した。
 そうして、ギリウス先生からわたしが一本とるまでわたしたちは、打ち合っていた。
 ギリウス先生は、にやりと笑った。
 「王都で遊んでいたわけじゃなさそうだな、カイラ」
 わたしたちは、新しい学期が始まる前にわたしが王都に戻るまでに何回も試合をした。
 わたしは、3回に一回は、ギリウス先生に勝てるようになっていた。
 「まだまだだが、なかなか悪くはない」
 ギリウス先生は、わたしの頭をわしゃわしゃと撫でた。
 
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