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第7章 恋する騎士
7ー4 夢
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7ー4 夢
「いったいここで何をされているのか、話してもらえますか?ルシーディア様」
わたしが訊ねると、ルシーは、真面目な顔をした。
「昨日も言ったけど、僕は、王にはならない。僕は、魔道具師になるんだ」
ルシーは、わたしにゆっくりと話し始めた。
「幼い頃からずっと、王になるために生きてきた。だけど、ある日、気づいたんだ。そこには、僕の意思はないことに」
ルシーは、わたしに話した。
「それから、僕は、考えてみた。僕は、いったい何がしたいのかってね」
ルシーは、あの黒い液体をごくりと飲むと再び話し出した。
「僕は、子供の頃から魔道具が好きだった。いつも魔道具を見たらどうやって造られたのかとか考えていた」
ルシーが魔道具師になろうと思ったのは、サリタニア王立魔法学園に入学してからだった。
そこでルシーは、魔法を学ぶうちに魔道具を自分でも造ってみたいと思うようになったのだという。
「僕の影に相談してこのタイタノスの魔道具師である今の親方のもとに弟子入りすることにしたんだ。親方は、僕が何者か知っている。その上で特別に弟子にしてくれているんだ」
ルシーは、わたしをじっと見た。
「僕は、今、学園の5年生だ。あと一年で卒業だ。それまでには、僕は、王位継承権を放棄するつもりだ」
わたしは、息を飲んだ。
王位継承権を放棄する?
マジですか?
「そんなことが許されると思っているんですか?」
わたしは、ルシーに静かに告げた。
「あなたは、国民に対して義務を果たさなくてはいけない」
「僕は、王にはなるべきじゃない。セツラウスこそが王にふさわしい」
ルシーが真剣な表情でわたしに訴えかけた。
「僕は、どうしても魔道具師になりたいんだ、カイラ」
「なぜです?」
わたしがきくとルシーは、瞳を輝かせて答えた。
「僕が造った魔道具で国民が少しでも豊かな暮らしができるようになるように、そう思っているんだよ」
ルシーは、じっとわたしを見つめるとわたしにがばっと頭を下げた。
「頼む、僕の夢に協力してほしい」
協力って。
わたしが困っているのを見てマオが口を挟んだ。
「いいんじゃない?別に、王になるのをやめて魔道具師になる王子様がいたって」
「いったいここで何をされているのか、話してもらえますか?ルシーディア様」
わたしが訊ねると、ルシーは、真面目な顔をした。
「昨日も言ったけど、僕は、王にはならない。僕は、魔道具師になるんだ」
ルシーは、わたしにゆっくりと話し始めた。
「幼い頃からずっと、王になるために生きてきた。だけど、ある日、気づいたんだ。そこには、僕の意思はないことに」
ルシーは、わたしに話した。
「それから、僕は、考えてみた。僕は、いったい何がしたいのかってね」
ルシーは、あの黒い液体をごくりと飲むと再び話し出した。
「僕は、子供の頃から魔道具が好きだった。いつも魔道具を見たらどうやって造られたのかとか考えていた」
ルシーが魔道具師になろうと思ったのは、サリタニア王立魔法学園に入学してからだった。
そこでルシーは、魔法を学ぶうちに魔道具を自分でも造ってみたいと思うようになったのだという。
「僕の影に相談してこのタイタノスの魔道具師である今の親方のもとに弟子入りすることにしたんだ。親方は、僕が何者か知っている。その上で特別に弟子にしてくれているんだ」
ルシーは、わたしをじっと見た。
「僕は、今、学園の5年生だ。あと一年で卒業だ。それまでには、僕は、王位継承権を放棄するつもりだ」
わたしは、息を飲んだ。
王位継承権を放棄する?
マジですか?
「そんなことが許されると思っているんですか?」
わたしは、ルシーに静かに告げた。
「あなたは、国民に対して義務を果たさなくてはいけない」
「僕は、王にはなるべきじゃない。セツラウスこそが王にふさわしい」
ルシーが真剣な表情でわたしに訴えかけた。
「僕は、どうしても魔道具師になりたいんだ、カイラ」
「なぜです?」
わたしがきくとルシーは、瞳を輝かせて答えた。
「僕が造った魔道具で国民が少しでも豊かな暮らしができるようになるように、そう思っているんだよ」
ルシーは、じっとわたしを見つめるとわたしにがばっと頭を下げた。
「頼む、僕の夢に協力してほしい」
協力って。
わたしが困っているのを見てマオが口を挟んだ。
「いいんじゃない?別に、王になるのをやめて魔道具師になる王子様がいたって」
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