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第6章 タイタノス

6ー9 転移

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 6ー9 転移

 翌日。
 わたしたちは、浮遊都市タイタノスの入り口であるゲートへと向かった。
 ゲートは、港町ランティアの埠頭の端っこにあった。
 遠く拡がる海の彼方にある他の大陸と交易をしているランティアの港には、多くの異人たちが集っていてわたしたちは、物珍しくてきょろきょろと辺りを見回しながらラティマ先生の後をついて歩いていった。
 異人たちは、その多くが暗黒大陸と呼ばれる大陸からきた獣人たちだ。
 獣人は、貴族の家でよく働いているので珍しくはない。
 だが、ここの獣人たちは、屋敷で見るような従順な仮面を被った獣人たちではなかった。
 もっと自由で、もっと野性味に溢れていた。
 ラティマ先生は、わたしたちをつれてゲートへと向かった。
 ゲートの付近には獣人の兵士たちが立って警備していた。
 わたしたちは、街へ入る人々の列に並んだ。
 浮遊都市タイタノスを目指す様々な人々がそこには並んでいた。
 商人、観光客、芸人の一座らしき人々もいた。
 どの人々もわたしがつれているマオのことを珍しげに見つめていた。
 猫竜を従魔にしている者は、あまりいない。
 気ままな猫竜は、人になつきにくい。
 だから従魔には、むかないのだ。
 何時間も並んでやっとわたしたちは、浮遊都市タイタノスへ入ることを許された。
 だが。
 巨大なアーチ状の門があるだけで周囲には何も存在しなかった。
 ラティマ先生が遠くの海を指してわたしたちに話した。
 「あの遠くに見えているのが浮遊都市タイタノスよ」
 目をこらすと遠くの海上の空の上に島陰が見えた。
 かなり離れている。
 「どうやってあそこまで行くんですか?」
 ライナスが訊ねるとラティマ先生が答えた。
 「この転移の門から街に入れるのよ」
 どうやらこのアーチ状の門には、転移の魔法がかけられている様だ。
 人々は、次々と転移の門を潜って姿を消していく。
 「さあ、行くわよ、あなたたち」
 ラティマ先生に促されてわたしたちは、門を潜った。
 一瞬、ぐるんと目の前が回るのを感じて。
 次の瞬間には、もうそこは、浮遊都市タイタノスの街だった。
 そこは、見たこともないような美しい町並みが拡がっていた。
 赤茶色のレンガの建物に、町中を流れる水路。
 行き交う人々は、どことなく異国情緒が漂う服装をしている。
 何より、街は、地上よりも暑かった。
 「このタイタノスは、一年中火の季節が続く街なの」
 ラティマ先生が歩きながら話してくれた。
 
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