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第6章 タイタノス

6ー6 陸竜

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 6ー6 陸竜

 王都ラキシスから浮遊都市タイタノスまでの旅は、陸竜に乗って1週間ほどの旅だった。
 陸竜というのは巨大な山のような竜のことだ。
 人々は、長距離の旅にはこの陸竜を使うことが多い。
 陸竜の背には、小さな町がありそこで暮らしている人たちもいる。
 本当は、すごいスピードで移動しているのだけれど陸竜の背にいるわたしたちには、まったく揺れとかは感じられなかった。
 わたしとマオ、それにレイナとライナスは、初めての陸竜の旅に驚きっぱなしだったけど、ラティマ先生は、以外と旅慣れているようでわたしたちの様子を見ては微笑ましげに笑っていた。
 ラティマ先生は、小柄でピンク色がかった金髪の美しい人だが、実は、ウルティア様より年上なのだという。
 言われなければわからない。
 ラティマ先生は、化粧っけがないけどとっても若く見える。
 もしかしたらそれは、音楽の好きな精霊たちに先生がすかれているせいかもしれない。
 今回、わたしたちがのった陸竜は、フレイという名の竜だったから、背中の町もフレイと呼ばれていた。
 わたしたちは、フレイにある一番大きな宿屋に部屋をとっていた。
 「ほんとは、ウルティア様たちも一緒に行きたかったらしいのだけど、どうしても仕事が忙しいらしくってとっても残念がっておられたわ」
 ラティマ先生がわたしに話してくれた。
 うん。
 わたしもすごく残念だ。
 アルタス様とウルティア様にもわたしが演奏するのをきいてほしかった。
 だけど、そんな我が儘はいえない。
 わたしとマオとレイナとライナスは、毎日、フレイの町の丘の上の方にある陸竜の操者のもとへと通っていた。
 陸竜を操っているのは、わたしたちと同い年くらいの少年だった。
 彼は、竜の神であるマウリの加護を受けているのだという。
 少年は、トーイという名でわたしと同じ孤児だった。
 竜の神の加護があったので陸竜の操者である養い親のもとに引き取られたのだという。
 トーイにとっては、これが初めての陸竜での旅らしかった。
 わたしたちに陸竜の説明をしてくれているトーイの横でトーイの養い親で竜の操者としての師匠でもあるトマスが怖い顔をして立っている。
 「竜を操っているときは、油断はしちゃいかんぞ!トーイ」
 トマスは、厳しい口調でわたしたちに告げた。
 「あんたたちもだ!見学するのは勝手だがあまりムダ話はせんでくれ!」
 
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