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第3章 ライバル宣言!

3ー4 王子様

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 3ー4 王子様

 少年は、わたしのケガを治すと立ち上がってわたしに礼をとった。
 「とっさのこととはいえ、失礼なことをしてすまなかった、レディ」
 レディ?
 わたしは、ぼっと頬が熱くなる。
 わたしがレディ?
 焦っているわたしに少年は、にっこりと微笑むと名乗った。
 「私は、セツラウス、セツラウス・メルロープだ。君は?」
 セツラウス?
 わたしは、目を見開いて少年を凝視した。
 この人、もしかして王子様?
 セツラウス様は、わたしを悪戯っぽい目で見つめると促した。
 「君の名前は?」
 「カイラ!」
 呼び声が聞こえて向こうからアルタス様とウルティア様が近づいてくるのが見えた。
 セツラウス様は、わたしに名残惜しげに告げた。
 「では、また学園で会おう、カイラ」
 「あっ!」
 わたしが声を書けようとしたらセツラウス様がにこっとわたしに微笑み背を向け去っていった。
 「カイラ!」
 アルタス様が駆け寄ってくるとわたしに訊ねた。
 「大丈夫か?カイラ」
 「どこにもケガはない?」
 ウルティア様が心配そうにわたしを見つめている。
 わたしは、にっこりと二人に微笑みかけた。
 「大丈夫です。ちょっと膝を擦りむいたけれどさっき、あの、セツラウス様が治してくださいました」
 「セツラウス様が?」
 二人は顔を見合わせた。
 「こられているとはきいていたが、まさか、セツラウス様がカイラを手当てしてくださるとは」
 「こういう場があまりお好きでなくてめったにパーティには顔を出されないときいていたのだけれど」
 ウルティア様は、わたしの足元に近づくとそっとドレスに触れた。
 「せっかくのドレスが台無しね。汚れてしまって」
 「申し訳ありません」
 わたしは、すっかり落ち込んでいた。
 こんなすてきなドレスを転んで汚してしまうなんて。
 だけど、ウルティア様は、わたしを見つめてにっこりと微笑んだ。
 「大丈夫よ、カイラ。もう、みなさんにご挨拶もすんだことだし、おいとましましょう」
 わたしたちは、そのままパーティ会場を後にした。
 玄関で馬車に乗り込もうとしていると大公夫妻が姿を見せた。
 「災難だったわね、カイラ」
 フローラ様が申し訳なささげにわたしに告げた。
 「庭で転んでしまうなんて。ケガはなかったのかしら?」
 「はい、大丈夫です」
 わたしは、しゅんとして応じた。
 「騒ぎを起こして申し訳ありませんでした」
 
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