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第2章 聖女の騎士

2ー10 ドレス

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 2ー10 ドレス

 大公閣下であるグリザリオス公爵の屋敷は王都ラキシスの中央にある王城を取り囲むように広がる貴族街の端っこの小高い丘の上にある。
 わたしとアルタス様とウルティア様は、都市の中で使う馬車に乗って大公閣下のお屋敷を目指した。
 貴族街は、馬車が通れるように整備されていてその両側に貴族のお屋敷がたっている。
 貴族の子女の学ぶサリタニア王立魔法学園の今年の新入生は、200人ほどでその数は、他の学年に比べるとちょっと多いらしい。
 というのもこの学年には、第二王子であるセツラウス・メルロープ様がいるからだという。
 アルタス様が話してくださることによるとこのセツラウス様と縁を持ちたいがために入学時期をずらしたりした貴族の子女もいるそうでそのために人数が増えたらしい。
 なんでも王位継承権を王太子様と争っているというセツラウス様は、たいそう優秀な方なのだそうで10歳にして国境付近に現れた魔物の群れを討伐する部隊に参加されご活躍されたとか。
 炎の神と水の神の二神から祝福を受けているというとてもレアな方であるそうでまったく神の祝福を得られなかったわたしからすれば羨ましい限りだ。
 そのセツラウス様の婚約者であるアイリス・ブリュエル侯爵令嬢も今年入学されるとか。
 そんなことよりもわたしは、貴族の集まるパーティで粗相をしてしまわないか心配で緊張していた。
 肩にのったマオがふふん、と笑った。
 「どんだけ子供が集まってても竜を持っているような子は、あんたの他にはいやしないわよ。胸を張りなさい、カイラ」
 「そうだよ、カイラ」
 アルタス様が鷹揚に微笑まれる。
 「実力では君が一番だよ」
 「あら、見た目でもカイラは、一番よ」
 ウルティア様がふんす、とどや顔をされる。
 「何しろ、王都で一番の仕立て屋がこの子のためだけにドレスを作ったんですもの」
 そう。
 なんでも王都で一番人気がある仕立て屋のドルフェスさんがわたしのドレスは、どうしても自分が仕立てるといってくれたらしい。
 ちなみに彼が自らドレスを作るとそのドレスを着る令嬢は、必ずその年のうちにいいお相手に恵まれるとか。
 
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