173 / 217
15 どきどきサバイバルですか?
15-7 夜営
しおりを挟む
15ー7 夜営
夜になると小雪が舞った。
森の中は、きんと冷えていて、静まり返っていた。
周囲の温もりを集めている 結界内は、外に比べればほのかに暖かかったが、それでも肌寒かった。
イヌは、本物の子犬のように俺にすり寄ってきて眠っていた。
その小さな温もりに俺は、思わず微笑んでいた。
アレイアスとラクアスが俺たちに上着を差し出して、そっと肩にかけてくれた。
「ありがとう、だけど、お前たちも」
俺は、断ろうとした。
だが、2人は俺の言葉を遮った。
「男に恥をかかすなよ」
そうなの?
俺は、口を閉じて上着を引き寄せた。
暗くなると森の隙間から覗く夜空が美しかった。
こんなきれいな夜空を、俺は、最近見ていなかったことに気づいた。
俺は、 イヌを抱いてそっと目を閉じた。
不意に、聖獣化したクロが俺たちのことをその毛並みで包み込んだ。
ふかふかの クロの毛並みは、暖かくってなんだか、懐かしい思い出が甦ってくる。
幼かった頃に1人森に捨てられていた俺を暖めてくれたクロ。
ぼんやりと考えていると、イヌがもぞもぞと動いて何か呟いた。
かあさん
俺は、胸が痛んだ。
こんな子供が1人で奴隷として使われていたんだ。
口にするのも憚られるようなことだってされてきたのに違いない。
俺は、そっとイヌを抱き締めた。
「あったかい」
イヌが呟いた。
イヌは、俺が出会ってから初めての幸せそうな微笑みを浮かべている。
ぎゅっと俺にしがみついてくる柔らかな感触に、俺は、心を打たれていた。
もしも、俺に妹がいたらこんな感じなのかな?
イヌがほぅっと吐息をつく。
かわいい!
俺は、なんか胸がキュンとなっていた。
この子は、もう、幸せになってほしい。
この子が泣かなくてすむ世界になればいい。
俺は、 ふと考えていた。
この子にも俺のように父様や母様に愛される思い出を作ってやりたい。
そうだ。
母様に頼んでイヌのことをうちの養女にしてもらおう。
俺は、そんなことを思いながら、クロの柔らかな毛並みにくるまれてうとうとと眠りに落ちていった。
夜になると小雪が舞った。
森の中は、きんと冷えていて、静まり返っていた。
周囲の温もりを集めている 結界内は、外に比べればほのかに暖かかったが、それでも肌寒かった。
イヌは、本物の子犬のように俺にすり寄ってきて眠っていた。
その小さな温もりに俺は、思わず微笑んでいた。
アレイアスとラクアスが俺たちに上着を差し出して、そっと肩にかけてくれた。
「ありがとう、だけど、お前たちも」
俺は、断ろうとした。
だが、2人は俺の言葉を遮った。
「男に恥をかかすなよ」
そうなの?
俺は、口を閉じて上着を引き寄せた。
暗くなると森の隙間から覗く夜空が美しかった。
こんなきれいな夜空を、俺は、最近見ていなかったことに気づいた。
俺は、 イヌを抱いてそっと目を閉じた。
不意に、聖獣化したクロが俺たちのことをその毛並みで包み込んだ。
ふかふかの クロの毛並みは、暖かくってなんだか、懐かしい思い出が甦ってくる。
幼かった頃に1人森に捨てられていた俺を暖めてくれたクロ。
ぼんやりと考えていると、イヌがもぞもぞと動いて何か呟いた。
かあさん
俺は、胸が痛んだ。
こんな子供が1人で奴隷として使われていたんだ。
口にするのも憚られるようなことだってされてきたのに違いない。
俺は、そっとイヌを抱き締めた。
「あったかい」
イヌが呟いた。
イヌは、俺が出会ってから初めての幸せそうな微笑みを浮かべている。
ぎゅっと俺にしがみついてくる柔らかな感触に、俺は、心を打たれていた。
もしも、俺に妹がいたらこんな感じなのかな?
イヌがほぅっと吐息をつく。
かわいい!
俺は、なんか胸がキュンとなっていた。
この子は、もう、幸せになってほしい。
この子が泣かなくてすむ世界になればいい。
俺は、 ふと考えていた。
この子にも俺のように父様や母様に愛される思い出を作ってやりたい。
そうだ。
母様に頼んでイヌのことをうちの養女にしてもらおう。
俺は、そんなことを思いながら、クロの柔らかな毛並みにくるまれてうとうとと眠りに落ちていった。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
アホ王子が王宮の中心で婚約破棄を叫ぶ! ~もう取り消しできませんよ?断罪させて頂きます!!
アキヨシ
ファンタジー
貴族学院の卒業パーティが開かれた王宮の大広間に、今、第二王子の大声が響いた。
「マリアージェ・レネ=リズボーン! 性悪なおまえとの婚約をこの場で破棄する!」
王子の傍らには小動物系の可愛らしい男爵令嬢が纏わりついていた。……なんてテンプレ。
背後に控える愚か者どもと合わせて『四馬鹿次男ズwithビッチ』が、意気揚々と筆頭公爵家令嬢たるわたしを断罪するという。
受け立ってやろうじゃない。すべては予定調和の茶番劇。断罪返しだ!
そしてこの舞台裏では、王位簒奪を企てた派閥の粛清の嵐が吹き荒れていた!
すべての真相を知ったと思ったら……えっ、お兄様、なんでそんなに近いかな!?
※設定はゆるいです。暖かい目でお読みください。
※主人公の心の声は罵詈雑言、口が悪いです。気分を害した方は申し訳ありませんがブラウザバックで。
※小説家になろう・カクヨム様にも投稿しています。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
呪われた子と、家族に捨てられたけど、実は神様に祝福されてます。
光子
ファンタジー
前世、神様の手違いにより、事故で間違って死んでしまった私は、転生した次の世界で、イージーモードで過ごせるように、特別な力を神様に授けられ、生まれ変わった。
ーーー筈が、この世界で、呪われていると差別されている紅い瞳を宿して産まれてきてしまい、まさかの、呪われた子と、家族に虐められるまさかのハードモード人生に…!
8歳で遂に森に捨てられた私ーーキリアは、そこで、同じく、呪われた紅い瞳の魔法使いと出会う。
同じ境遇の紅い瞳の魔法使い達に出会い、優しく暖かな生活を送れるようになったキリアは、紅い瞳の偏見を少しでも良くしたいと思うようになる。
実は神様の祝福である紅の瞳を持って産まれ、更には、神様から特別な力をさずけられたキリアの物語。
恋愛カテゴリーからファンタジーに変更しました。混乱させてしまい、すみません。
自由にゆるーく書いていますので、暖かい目で読んで下さると嬉しいです。
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
やり直し令嬢の備忘録
西藤島 みや
ファンタジー
レイノルズの悪魔、アイリス・マリアンナ・レイノルズは、皇太子クロードの婚約者レミを拐かし、暴漢に襲わせた罪で塔に幽閉され、呪詛を吐いて死んだ……しかし、その呪詛が余りに強かったのか、10年前へと再び蘇ってしまう。
これを好機に、今度こそレミを追い落とそうと誓うアイリスだが、前とはずいぶん違ってしまい……
王道悪役令嬢もの、どこかで見たようなテンプレ展開です。ちょこちょこ過去アイリスの残酷描写があります。
また、外伝は、ざまあされたレミ嬢視点となりますので、お好みにならないかたは、ご注意のほど、お願いします。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる