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15 どきどきサバイバルですか?

15-1 いきなりピンチです!

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         15ー1   いきなりピンチです!

    「何か言い残すことはあるか?」
      隻眼の黒狼族の獣人である船長代理のライは、俺とイヌにきいた。
    俺は、震えているイヌを抱き締めて船長代理を睨み付けた。
    「必ず、この礼はさせてもらうからな、ライ」
    船長代理は、大声で笑った。
   「さすがは、ガーランド公国の次期女王だ!ほんと、こんなとこで別れるのは惜しい女だぜ」
     俺とイヌは、空船の甲板から突き出された板の上をゆっくりと歩いて端っこまで行くと振り返った。
    渦巻く風にあおられて、俺たちは、今にも空中へと落ちそうになりながらもなんとか板の上に立っていた。
      「ほんとに、そいつと行くのか?姫様よぉ?」
    船長代理のライは、俺にきいた。
   「今ならまだ間に合うんだぜ?」
    「俺は、イヌを見捨てたりはしない!」
     俺は、言い放つと空中に体を踊らせた。
    俺たちの立っていた場所にエアシャークの群れが飛びかかってくる。
    エアシャークとは、空飛ぶ鮫のような生き物だ。
    俺は、イヌを抱き締めたまま、落下していった。
    凄まじい風圧に、イヌの軽い体が吹き飛ばされそうになるのを俺は、抱き止めた。
     俺は、どんなことがあってもこの子をもう、1人にはしない。
    例え、船から追われても、な!
    俺たちは、自由落下しながらお互いにしがみついていた。
    「きゅううん!」
      恐怖に鳴き声をあげるイヌの小さな体を俺は、抱き締めた。
     「大丈夫だ、俺を信じろ!」
      俺は、イヌに囁くと飛翔の魔法を発動させた。
     ふわり、と体が空に浮いた。
     イヌが下を見て、小さく悲鳴をあげる。
     涙を目に溜めて俺を見つめているイヌを俺は、抱いたまま空中を飛んでいた。
     俺たちは、ゆっくりと下へと降りていく。
    俺は、上空を離れていく空船を見送りながら、溜め息をついていた。
    どうして、こうなった?
    だが、仕方がない。
    こうなってしまたものは、しょうがない。
   俺は、いや、俺たちは、必ず生きてガーランド公国へとたどり着くぞ!
    絶対に!
    俺は、そう決意して、去っていく船を見送った。
    そう。
    俺たちは、1人じゃない!
   一蓮托生だ。
    必ず、ここを生き延びて見せる!
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