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14 デビュタントと5人の男たち(2)

14-3 本当に、本当?

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             14ー3   本当に、本当?

   「あなたたちは、みな、聖獣の種を実らせることができた方たち。いわば、聖女見習いとでもいえばよいのかしら?」
     ラートリアさんが俺たちを広間に集めて話した。
    「今のあなたたちに違いがあるとすれば、その聖獣の力の差ということがいえるでしょう」
    こうして俺たちの聖獣は、それぞれ、その属性やら魔力量やらを調べられることになた。
   「みなさん、1人づつ聖獣と共に前のこの水晶へ近づいてくださいね。では」
    ラートリアさんがちらっとアリシア嬢を見た。
   「アリシアさんから」
   「はい」
    アリシア嬢があの地獄から来た年か思えない生き物を連れて前へと進み出た。
   「グルルル」
    その巨大な犬は、牙を剥き出して唸り声をあげている。
   もうその様は、気の弱い子供なら泣き出しそうな様相だった。
    水晶玉は、赤く燃え上がった。
   「アリシアさんの聖獣は、炎属性の力をお持ちですわね。魔力量も多いし、強いですわ。次、ルーチェさん」
    「はぁい」
     ルーチェ嬢が白いふわふわした綿毛のようなものを共に前へと進むと、水晶玉は、真っ白な汚れのない光を放った。
   「ルーチェさんの聖獣は、光属性のようですね。魔力量は、普通のようですけれど、貴重な存在だわ」
   ラートリアさんが俺の方を見て微笑んだ。
   「では、次は、ネイジアさん、どうぞ」
    「はい」
     俺は、前に出ようとしたが俺の聖獣は、自分からは、動こうとはしなかった。
    何、こいつ?
   この豚猫は、俺のことをじっと見つめて1ミリも動かずに尻尾をパタパタさせていた。
    仕方なく俺は、この灰色のデブ猫を抱えて前に進んだ。
   お、重い!
   俺が息を乱してなんとか抱えあげて運ぶと、水晶玉は、真っ黒な光を吸い込むような色を浮かべてひび割れた。
   「これは・・ネイジアさんの聖獣は、闇属性で、非常に強い魔力を持っているようですわね」
   マジかよ?
   俺は、どや顔で見上げているデブ猫を見下ろして、目を丸くしていた。
    そして、やはり動こうとはしないこいつを俺は、ふぅふぅいいながら持ち上げて下がった。
    こいつ、俺の苦労も知らずに欠伸をしてやがる。
    「では、最後にエリンさん」
   ラートリアさんに名を呼ばれてエリンさんがびくん、と体を強ばらせた。
    「は、はいっ!」
    エリンさんは、青ざめた表情のままで立ち尽くしていた。ラートリアさんは、優しく声をかけた。
   「前へ、どうぞ、エリンさん」
    ラートリアさんに促されてエリンさんは、前に歩き始めた。
   その後ろを聖獣、というか犬が歩いていく。
   なんか、ヨロヨロしてて足取りも怪しく、エリンさんの後をついていくその姿にアリシア嬢が吹き出した。
  
    
    
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