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13 デビュタントと5人の男たち
13-6 新しい婚約話ですか?
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13ー6 新しい婚約話ですか?
2人は、俺を抱き締めて優しく微笑んだ。
「まさか、また、ここに帰ってこれるなんて」
俺が母様の胸に抱かれてそっと涙を拭いた時、誰かの声がきこえた。
「やはり、君は、あのメリッサだったのか」
えっ?
俺は、声の主を振り向いた。
そこには、サイナス辺境伯の姿があった。
なんで、この人がここにいるわけ?
「2人に、折り入って話があったものでね。しかし、もう帰るところだよ」
サイナス辺境伯は、父様たちに頭を軽く下げると、そのまま馬車に乗り込んで去っていた。
俺は、父様たちに訊ねた。
「なんの用だったわけ?」
「いや、また、後で話そう、メリッサ」
はい?
なんか気になるな。
でも、俺は、久しぶりの我が家に、すぐに、そんなことは、忘れてしまった。
俺は、母様と一緒に夕食の準備をしながら、学園の話とか、クラス対抗試合のはなしとかをしていた。
はしゃいでいる俺に、母様は、きいた。
「で?クロちゃんは?」
「クロ、は・・」
俺は、言葉に詰まった。
あいつは、修行とかなんとか言って、魔物が多く住むという森へと1人で出掛けていった。
この冬期休暇中は、もう、家に帰るつもりはないらしい。
「あんな奴、知らないよ!」
俺は、ふぃっと横を向いた。母様は、笑った。
「あらあら。仲良しなのにね」
「仲良くなんてないし!」
俺は、ムカついて、母様に声を荒げた。
「あんな駄猫、なにかと足を引っ張るし、役にはたたないし」
「あらまあ」
母様がくすくす笑った。
「クロちゃんにも会いたかったのに、残念だわ」
「そんなことより、さっきのサイナス辺境伯の話をして」
「その話は、夕食後に父様から、ね」
母様は、誤魔化そうとしたけど、俺は、気になって夕食の母様特製のシチューの味もわからなかった。
アル兄は、近所の幼馴染みのところに行っていたので、夕食は、俺と父様と母様の3人だけだった。
「父様、サイナス辺境伯のことなんだけど」
俺は、夕食後、父様にきいた。
「なにしに、あの人、ここに来たの?」
「それが」
父様は、困ったような顔をして母様を見た。父様は、母様が頷くのを見てから答えた。
「実は、お前に婚約の申し込みがあった」
「誰からだよ?」
俺は、うんざりとしていた。
また、どこかの貴族のボンボンか?
「いや、あの」
父様は、言いにくそうにしていたが、母様に促されて俺に言った。
「実は、その、サイナス辺境伯がお相手なんだよ」
はい?
俺は、固まっていた。
2人は、俺を抱き締めて優しく微笑んだ。
「まさか、また、ここに帰ってこれるなんて」
俺が母様の胸に抱かれてそっと涙を拭いた時、誰かの声がきこえた。
「やはり、君は、あのメリッサだったのか」
えっ?
俺は、声の主を振り向いた。
そこには、サイナス辺境伯の姿があった。
なんで、この人がここにいるわけ?
「2人に、折り入って話があったものでね。しかし、もう帰るところだよ」
サイナス辺境伯は、父様たちに頭を軽く下げると、そのまま馬車に乗り込んで去っていた。
俺は、父様たちに訊ねた。
「なんの用だったわけ?」
「いや、また、後で話そう、メリッサ」
はい?
なんか気になるな。
でも、俺は、久しぶりの我が家に、すぐに、そんなことは、忘れてしまった。
俺は、母様と一緒に夕食の準備をしながら、学園の話とか、クラス対抗試合のはなしとかをしていた。
はしゃいでいる俺に、母様は、きいた。
「で?クロちゃんは?」
「クロ、は・・」
俺は、言葉に詰まった。
あいつは、修行とかなんとか言って、魔物が多く住むという森へと1人で出掛けていった。
この冬期休暇中は、もう、家に帰るつもりはないらしい。
「あんな奴、知らないよ!」
俺は、ふぃっと横を向いた。母様は、笑った。
「あらあら。仲良しなのにね」
「仲良くなんてないし!」
俺は、ムカついて、母様に声を荒げた。
「あんな駄猫、なにかと足を引っ張るし、役にはたたないし」
「あらまあ」
母様がくすくす笑った。
「クロちゃんにも会いたかったのに、残念だわ」
「そんなことより、さっきのサイナス辺境伯の話をして」
「その話は、夕食後に父様から、ね」
母様は、誤魔化そうとしたけど、俺は、気になって夕食の母様特製のシチューの味もわからなかった。
アル兄は、近所の幼馴染みのところに行っていたので、夕食は、俺と父様と母様の3人だけだった。
「父様、サイナス辺境伯のことなんだけど」
俺は、夕食後、父様にきいた。
「なにしに、あの人、ここに来たの?」
「それが」
父様は、困ったような顔をして母様を見た。父様は、母様が頷くのを見てから答えた。
「実は、お前に婚約の申し込みがあった」
「誰からだよ?」
俺は、うんざりとしていた。
また、どこかの貴族のボンボンか?
「いや、あの」
父様は、言いにくそうにしていたが、母様に促されて俺に言った。
「実は、その、サイナス辺境伯がお相手なんだよ」
はい?
俺は、固まっていた。
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