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12 学園祭の花は誰だ?(2)
12-13 キスですか?
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12ー13 キスですか?
俺たちは、みな、壇上に呼ばれて観客から惜しみ無い拍手を贈られた。
こうして、俺たちの優勝は、決定し、そして、同時に俺たちの及第は確定され、クロノの貞操も守られることとなった。
「でも、クロノは、好きな人っているのかよ?」
俺が聞くと、クロノは、答えた。
「いるよ」
「ふぅん。誰だよ?」
俺は、クロノをからかうつもりでクロノに訊ねた。
クロノは、ぽぅっと頬を染めた。
「その・・クロ君、です」
はい?
クロノって、そっちの世界の住人だったのか?
っていうか、この世界は、わりと自由な恋愛観があってそういうのもありなんだけどさ。
マジですか?
俺は、クロノの告白に衝撃を受けていた。
学園祭の最終日の夜は、花火があがるのだが、クリスがにっこり笑って、俺に囁いた。
「ご存じかしら?この学園の学園祭の最終日の花火を見ながら口づけを交わした恋人たちは、必ず結ばれますのよ」
「へぇ。そうなんだ」
俺が適当に返事すると、クリスが俺を肘で小突いた。
「メリッサもクロ様をお誘いしたらどうかしら?」
はい?
俺は、クリスを信じられないものを見るような目で見た。
「なんで俺がクロと?」
「だって、お二人は、とってもお似合いですもの」
ええっ?
なんですと?
ハトマメ状態の俺をよそにクリスは、微笑んだ。
「クロ様は、みんなが狙っていますのよ。メリッサ、急がなくては、誰かに先を越されますわよ?」
いや。
どんどん先を越されてもかまわないからね。
俺は、笑った。
「俺がクロと?ないない」
花火が始まる少し前になると校内は、すごい騒ぎになっていて、俺は、もみくちゃにされながら、キティとクロノを探していた。
2人とはぐれてしまって、俺は、1人、人混みのなかでさ迷っていた。
時々、俺に声をかけてくる奴がいたけど、そういうのは、全て無視して、逃げていたのだが、1人しつこい奴がいて、俺は、振り切って逃げ出そうとしていた。
「こっちだ、メリッサ!」
はい?
突然、誰かが俺を呼び寄せたかと思うと、抱き上げられた。
なんですと?
俺は、俺を抱き上げている奴の顔を見た。
クロ、だった。
「こら!駄猫!下ろさないか!」
俺は、暴れたけど、クロは、俺を離さなかった。
そのまま、クロは、人の流れを突っ切って俺を闘技場の片隅にある使用人たちが使っている休憩室へと連れ込んだ。
「ここに隠れてれば騒ぎからは逃げられる」
ええっ?
「俺は、花火が見たかったんだよ!」
「ここからだって見えるさ」
クロは、小さな窓を指差した。
そのとき、ぱぁっと辺りが明るくなって、夜空に光の花が開いた。
どん、という音と振動が伝わってくる。
「本当だ、きれいに見えるな」
「メリッサ」
クロが俺の名を呼んだ。俺は、クロを振り返った。
「何?」
その瞬間、軽く俺とクロの唇が触れ合った。
ええっ?
どん、と音がして窓から光が差し込んだ。
俺たちは、しばらく無言で見つめあっていた。
俺たちは、みな、壇上に呼ばれて観客から惜しみ無い拍手を贈られた。
こうして、俺たちの優勝は、決定し、そして、同時に俺たちの及第は確定され、クロノの貞操も守られることとなった。
「でも、クロノは、好きな人っているのかよ?」
俺が聞くと、クロノは、答えた。
「いるよ」
「ふぅん。誰だよ?」
俺は、クロノをからかうつもりでクロノに訊ねた。
クロノは、ぽぅっと頬を染めた。
「その・・クロ君、です」
はい?
クロノって、そっちの世界の住人だったのか?
っていうか、この世界は、わりと自由な恋愛観があってそういうのもありなんだけどさ。
マジですか?
俺は、クロノの告白に衝撃を受けていた。
学園祭の最終日の夜は、花火があがるのだが、クリスがにっこり笑って、俺に囁いた。
「ご存じかしら?この学園の学園祭の最終日の花火を見ながら口づけを交わした恋人たちは、必ず結ばれますのよ」
「へぇ。そうなんだ」
俺が適当に返事すると、クリスが俺を肘で小突いた。
「メリッサもクロ様をお誘いしたらどうかしら?」
はい?
俺は、クリスを信じられないものを見るような目で見た。
「なんで俺がクロと?」
「だって、お二人は、とってもお似合いですもの」
ええっ?
なんですと?
ハトマメ状態の俺をよそにクリスは、微笑んだ。
「クロ様は、みんなが狙っていますのよ。メリッサ、急がなくては、誰かに先を越されますわよ?」
いや。
どんどん先を越されてもかまわないからね。
俺は、笑った。
「俺がクロと?ないない」
花火が始まる少し前になると校内は、すごい騒ぎになっていて、俺は、もみくちゃにされながら、キティとクロノを探していた。
2人とはぐれてしまって、俺は、1人、人混みのなかでさ迷っていた。
時々、俺に声をかけてくる奴がいたけど、そういうのは、全て無視して、逃げていたのだが、1人しつこい奴がいて、俺は、振り切って逃げ出そうとしていた。
「こっちだ、メリッサ!」
はい?
突然、誰かが俺を呼び寄せたかと思うと、抱き上げられた。
なんですと?
俺は、俺を抱き上げている奴の顔を見た。
クロ、だった。
「こら!駄猫!下ろさないか!」
俺は、暴れたけど、クロは、俺を離さなかった。
そのまま、クロは、人の流れを突っ切って俺を闘技場の片隅にある使用人たちが使っている休憩室へと連れ込んだ。
「ここに隠れてれば騒ぎからは逃げられる」
ええっ?
「俺は、花火が見たかったんだよ!」
「ここからだって見えるさ」
クロは、小さな窓を指差した。
そのとき、ぱぁっと辺りが明るくなって、夜空に光の花が開いた。
どん、という音と振動が伝わってくる。
「本当だ、きれいに見えるな」
「メリッサ」
クロが俺の名を呼んだ。俺は、クロを振り返った。
「何?」
その瞬間、軽く俺とクロの唇が触れ合った。
ええっ?
どん、と音がして窓から光が差し込んだ。
俺たちは、しばらく無言で見つめあっていた。
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