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11 学園祭の花は、誰だ?

11-8 美少女降臨?

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              11ー8   美少女降臨?

    そうこうしているうちに、学園祭の日がやってきた。
   その日は、学園の門扉が開かれ、王都の人々が訪れていてすごい人出だった。
   俺たちは、まず、『執事カフェ』の用意をした。
    といっても教室に飾り付けしたり、材料を用意したりということは、もう前日までに済ませていた。
    俺たちが用意していたのは、自分達の装いだった。
    俺と他の女子たちは、みな、レティの用意した執事の制服を身に付けて男装して店に出た。
    「わぁ、メリッサ、カッコいい!」
     俺の姿を見て、キティが歓声を漏らす。
    俺は、長い金髪を後ろで三つ編みにして背に垂らして、上は、白シャツと黒いベスト、下は黒いズボンという格好で、エプロンを腰に巻いていた。
    キティも同じ制服姿だったけど、なんだか、幼い少年のように可愛らしく見えた。
    「キティも、かわいいぞ」
     俺が言うと、キティは、頬を上気させていた。
    「やだっ!メリッサったら」
     気の早い客がちらほらと訪れ出していたので俺たちは、接客を始めた。
    俺たちは、入り口にずらりと並ぶと、声を揃えて言った。
   「「おかえりなさいませ、お嬢様、ご主人様」」
    俺たちがそう言って微笑みかけると、女子も男子もみんな頬を赤らめた。
   ちょろいな!
   俺は、にっこりと微笑みながら席へと案内していった。
   「ちょっと、愛想を振り撒きすぎじゃね?メリッサ!」
   女装したクロたちがカーテンで仕切っている厨房から顔を出して文句を言った。
    「そうだぞ!そんなに微笑みかける必要なんかない筈だ!」
     ラクアスとアレイアスも顔を出して喚いていた。
   「そうだぞ、メリッサ!」
    「離れろ!」
     だが、俺は、3人を無視していた。
   3人は、フリフリのメイド服を身に付け、ばっちりと化粧を施されていた。
    俺は、吹き出してしまった。
   「3人とも、すごい美人さんばかりだな」
    「「「くぅっ!」」」
    3人は、きぃっと俺の方を見つめると、口々に言った。
   「覚えてろよ、メリッサ!」
   「今度、必ず、泣かせてやるからな!」
     でも、ほんとに3人とも美少女というか、美人だった。
   もともとがみんないいからか?
   マジで!
   写真機があればよかったのに!
   今度、キティと作ってみよう、と俺は、心に決めていた。
    そのとき、物陰からクロノが現れた。
   クロたちと同じメイド服を着ているクロノは、もじもじしながら外へ出てきた。
   「もう、勘弁してください。こんな姿、家族に見られでもしたら・・」
    マジかよ?
   クロノは、マジで美しかった。
   まるで、後ろに花が咲いているかのような美しさだった。
    眼鏡を取り上げられているせいでよろよろしていたけど、な。
   「あまり、見ないでください、メリッサ」
     恥じらう姿がめちゃくちゃかわいい!
    人は、見かけによらないというか、なんというか。
   俺は、ちょっと感動していた。


   
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