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10 婚約と姑と5人の亜人

10-10 怒りと同情

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              10ー10   怒りと同情

   キティは、大男とゴブリンたちと一緒に部屋を出ていった。
   ラクアスが心配そうにきいた。
   「彼女は、大丈夫なのか?メリッサ」
    「大丈夫だよ」
    俺は、ラクアスに笑いかけた。
   「これからキティは、お前の母ちゃんと姉ちゃんのとこに連れていかれるんだよ」
   「本当に?」
    ラクアスが驚いて声をあげた。
   「なんでわかるんだ?」
    俺は、昨夜、2人に頼んだことをラクアスに話した。
   「俺は、昨日、お前の母ちゃんと姉ちゃんに頼んだんだよ。朝が来たら側仕えがいないと不満を爆発させて奴等を困らせてくれってさ」
    「マジで?」
    ラクアスがくっくっと笑った。
   「あの2人がそんなことを?」
    「ああ」
    俺は、頷いた。
    「たぶん、奴等、相当手を焼いたんだな。思ったより、早くキティを連れにきた」
   「そうなのか?」
    俺たちは、あのアレイアスが女たちに手を焼いて困りきっている様子を思い浮かべて爆笑した。
    「とにかく、これで母ちゃんと姉ちゃんは、安全だ」
    俺は、ラクアスに受け合った。
   「キティは、あれでも一応、魔法学園の生徒だしハムたちもいるしな」
    まあ、ちょっと不安はあるけど。
   俺は、ラクアスには、キティが落第しそうになったことは内緒にしていた。
   「すまない、メリッサ」
    ラクアスが頭を下げた。
   「なんて礼をいえばいいのか」
    「まだ、礼を言うのは早いぞ、ラクアス」
    俺は、言った。
   「まだ、この件が解決したわけでなし」
    「これからどうするつもりだ?メリッサ」
    ラクアスに聞かれたので、俺は答えた。
   「もうすぐ、向こうから俺に会いに来る筈だ。そうしたら、話をつけるさ」
    「奴等と話を?」
    ラクアスが吐き捨てるように言ったので、俺は、溜め息をついた。
   「うん。ちょっと悩むとこなんだが、もしかしたら、話せばわかりあえるかも知れないし」
   「だけど!」
    ラクアスが拳をぐっと握りしめた。
   「たくさんの人を奴等は殺した。父も、友も、奴等の手で殺されたんだ!」
    「それなんだけど」
    俺は、ラクアスにきいた。
    「俺にいい案があるんだが」
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