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10 婚約と姑と5人の亜人

10-8 2人のゴブリン

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             10ー8   2人のゴブリン

   俺たちが少女の方へと歩み寄っていくと、少女は、鍋を抱えたまま泣き出してしまった。
   何?
   これ、まるで、俺たちが悪人みたいじゃない?
    「ライラを泣かせたな!」
    窓のゴブリンが姿を消したかと思うと、黒いフードを被った小さな影が両手を振り回しながら俺たちに向かって走ってきた。
     「ライラを放せ!」
     俺は、駆け寄ってくるその小さな影の頭部を掴むと距離をとったまま言った。
   「やめんか!」
    「離せ!けだものども!」
     フードの中の緑の肌の少年が手を振り回しながら叫んだ。
   「この汚れた血の化け物が!」
    はい?
   俺は、何かわからないけど腹が立ってきて、そのガキを重力制御魔法で床の上に縫い付けた。
   「お前は、誰だ?」
   「きかれて答えるバカがいるかっつうの!」
    生意気なガキの言葉に、俺は、ムカついて思わずそいつの緑の大きな耳を引っ張っていた。
    「いてっ!いててっ!」
     そのチビは、俺に耳をっ引っ張られてぎゃあぎゃあわめいていた。
    「やめろ、このブス!」
    「ああ?」
     俺は、両手でそいつの両耳を掴んで引っ張った。
    「誰がブスだって?このクソガキが!」
    「ぎぃやアァあっ!助けて!ブスに殺される!」
    「やめて!ロイを殺さないで!」
     ライラと呼ばれた少女が叫んだ。
    「ご飯は、返すから!」
 
   その5分後。
    俺たちは、全員でテーブルを囲んで少し遅めの朝飯を食っていた。
    あの2人のゴブリンも一緒だ。
   「あたしたち、グラナダ大陸から来たんだ。あんたたち、人間が亜大陸とか呼んでるとこよ」
    シチューのおかわりを食べながらライラが話した。
   「大陸で1番大きな国イロイリアの王様の命令で、人間たちの国をやっつけるために来たんだよ」
    「やっつけてどうするんだ?」
     俺がきくと、ロイが答えた。
    「決まってるだろ!食料を奪って、国へ送るんだ」
   「食料?」
     キティが訊ねた。
    「あなたたち、食べる物に困ってるの?」
     「そうだよ!さもなきゃ、なんで、こんなとこにくるんだよ!」
    ロイがバカにしたように言った。
   なんか、このガキ、ムカつくな!

   
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