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9 ヴァカンスは、サバイバル?
9-5 闘う姫君
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9ー5 闘う姫君
「あなたが言えないのなら、私が言って差し上げましょうか?ラクアス様」
頭上から声がきこえて、俺たちは、街道沿いの木の上を見た。
黒いスリットの入ったドレスを身に付けた黒髪の美女が木の枝に腰かけてこちらに微笑みかけていた。
赤い、瞳。
「シャラ!」
ラクアスが叫んだ。
「彼女に手を出すな!」
「あら。さすがの氷の皇子も未来の花嫁にはお優しいこと」
シャラと呼ばれた女は、冷ややかに言った。
「でも、それも、もう叶わぬこと。残念ですわね、とっても美しい姫君なのに」
シャラは、醜く顔を歪ませて笑った。
「あなた方には、ここで死んでいただきますわ」
女が首から下げていた笛を吹きならすと、俺たちの周囲の地面が割れて、そこから人の手が延びてくる。
アンデッドだ!
地下から死者たちがわらわらと這い出してくる。
なんですと?
俺は、完全にびびっていた。
周囲をアンデッドに囲まれて、俺たちは、逃げ場を失っていた。
「大丈夫か?メリッサ」
クロが駆け寄ってきて、俺の体を支えた。
俺は、はっとして、クロに言った。
「大丈夫、だ!」
俺は、クロの手を振り払った。
俺がしっかりしなければ!
「みんな、ここから離れるぞ!」
俺は、クロとアル兄に向かって言った。
「クロとアル兄は、リオンとラクアスを連れて逃げて!」
「はい?」
クロが不服げな顔をしたが、俺は、クロを見つめて言った。
「頼む、クロ」
「・・仕方ねぇな」
「ナノ!」
俺が呼ぶと、ナノがわぅん!と吠えた。
「キティとクロノのことを頼む!」
「わふっ!」
聖獣に変化したクロと巨大化したナノがそれぞれ、みんなを手分けして背に乗せるとすぐさま走り出した。
俺は、ハインリヒたちに命じる。
「今から、お前たちをウィンティーの街まで転移する。このことを早く騎士団に伝えて街を守ってくれ!」
「はっ!」
ハインリヒが頷いてからきいた。
「メリッサ様は?」
「俺は、ここでアンデッドを迎え撃つ!」
俺の脳裏にさっきの花をくれた女の子のことが浮かんでいた。
なんとしても、こいつらが街へと向かうのを阻止しなくては!
俺は、転移ゲートを開くとハインリヒたちに向かって叫んだ。
「はやく、行け!」
「しかし、メリッサ様」
俺は、この期に及んでウダウダいっているハインリヒたちをゲートへと蹴り込んだ。
「メリッサさまぁ~!」
3人がゲートの中へと吸い込まれると、俺は、入り口を閉じ背後の敵と向き合った。
「あなたが言えないのなら、私が言って差し上げましょうか?ラクアス様」
頭上から声がきこえて、俺たちは、街道沿いの木の上を見た。
黒いスリットの入ったドレスを身に付けた黒髪の美女が木の枝に腰かけてこちらに微笑みかけていた。
赤い、瞳。
「シャラ!」
ラクアスが叫んだ。
「彼女に手を出すな!」
「あら。さすがの氷の皇子も未来の花嫁にはお優しいこと」
シャラと呼ばれた女は、冷ややかに言った。
「でも、それも、もう叶わぬこと。残念ですわね、とっても美しい姫君なのに」
シャラは、醜く顔を歪ませて笑った。
「あなた方には、ここで死んでいただきますわ」
女が首から下げていた笛を吹きならすと、俺たちの周囲の地面が割れて、そこから人の手が延びてくる。
アンデッドだ!
地下から死者たちがわらわらと這い出してくる。
なんですと?
俺は、完全にびびっていた。
周囲をアンデッドに囲まれて、俺たちは、逃げ場を失っていた。
「大丈夫か?メリッサ」
クロが駆け寄ってきて、俺の体を支えた。
俺は、はっとして、クロに言った。
「大丈夫、だ!」
俺は、クロの手を振り払った。
俺がしっかりしなければ!
「みんな、ここから離れるぞ!」
俺は、クロとアル兄に向かって言った。
「クロとアル兄は、リオンとラクアスを連れて逃げて!」
「はい?」
クロが不服げな顔をしたが、俺は、クロを見つめて言った。
「頼む、クロ」
「・・仕方ねぇな」
「ナノ!」
俺が呼ぶと、ナノがわぅん!と吠えた。
「キティとクロノのことを頼む!」
「わふっ!」
聖獣に変化したクロと巨大化したナノがそれぞれ、みんなを手分けして背に乗せるとすぐさま走り出した。
俺は、ハインリヒたちに命じる。
「今から、お前たちをウィンティーの街まで転移する。このことを早く騎士団に伝えて街を守ってくれ!」
「はっ!」
ハインリヒが頷いてからきいた。
「メリッサ様は?」
「俺は、ここでアンデッドを迎え撃つ!」
俺の脳裏にさっきの花をくれた女の子のことが浮かんでいた。
なんとしても、こいつらが街へと向かうのを阻止しなくては!
俺は、転移ゲートを開くとハインリヒたちに向かって叫んだ。
「はやく、行け!」
「しかし、メリッサ様」
俺は、この期に及んでウダウダいっているハインリヒたちをゲートへと蹴り込んだ。
「メリッサさまぁ~!」
3人がゲートの中へと吸い込まれると、俺は、入り口を閉じ背後の敵と向き合った。
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