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8 楽しい夏休み?

8-3 プール造りました。

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           8ー3   プール造りました。

   夏の王都は、暑い。
   だから、貴族や比較的裕福な人々は、夏の間は王都から離れて避暑地で過ごすのだ。
   夏場は、王都は、人口がぐっと激減するとか。
   「暑い!」
    俺は、もう我慢できずに叫ぶとハインリヒたちに命じて庭に国から持ってきた秘密兵器を用意させた。
    まず、そのために穴を掘って用意していた場所へと魔物の皮を縫い合わせて裏に膠を塗ったものを穴の中に広げるとそれに空気を入れて膨らませる。
   そこの中へと魔法で水を張る。
   これで、水深1メートルぐらいの25メートルプールの完成だ。
   俺は、グリナンデ王国から仕入れた薄くて丈夫な伸縮性のある布地で水着を作ったものを身に付けるとプールに飛び込んだ。
    水しぶきが煌めく。
   はー、気持ちいい!
   「メリッサ様!」
    メイドのサイがわめいた。
   「そんなはしたない格好をされて!いけません!」
   「ええっ?」
    俺は、プールの中から顔を出して笑った。
   「すごく、気持ちいいぞ。サイも水着着て、泳いだら?」
   「そ、そんなこと」
    サイが真っ赤になってうつ向いた。
   「いくらメリッサ様の命令でもできかねます」
   うん。
  この世界には、あまり水泳の習慣はないんだな。
   俺は、プールから出ると太陽の日差しを浴びて伸びをした。
   淡いブルーのワンピースタイプの水着を着た俺は、スタイルも抜群で自分でもちょっとしたグラビアアイドル並みだなと思っていた。
   まだ、成長中のボディは、それでもかなりの凹凸があり魅力的だ。
    「メリッサ様!」
    サイが慌てて大きな白い布を広げて俺の体を覆い隠そうとした。
   だが、すでに遅し。
   俺の姿を屋敷の男たちは、食い入るように見ていた。
   「も、申し訳ございません!」
    ハインリヒたちが目をそらした。
    「私たちは、しばらく下がっております」
    そう言うとハインリヒは、名残惜しそうにしているグリムとレンボルトを引っ張って去っていった。
    俺は、部屋から覗いているクロとリューイ先生たちに気づいてニッコリと微笑んだ。
   魅了発動!
    「早く勉強済ませることができたら、一緒に泳ごうな、クロ。リューイ先生も、ね」
   「「わっかりました!」」
   俺は、眼鏡をかけ直してガン見しているキティにも言った。
   「お前の水着も用意してるから一緒に泳ごう」
   「へぁっ?」
    キティが真っ赤になった。
    「そ、そ、そんなこと」
    「『サーフボード』の水上実験ができるけど」
   「わかりました!」
    
   
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