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6 魔法学園に入学しました。

6-6 的を射抜け!

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              6ー6    的を射抜け!

   実技の試験会場である広い中庭には、入学希望者たちがひしめいていた。
   うん。
   なんか知らないけど、この中で筆記試験1位の俺よりもクロの方が注目されてるってなんでだよ?
    クロは、俺のことをさりげなくガードしながら人混みを進んでいった。
   ざっと見回しただけでも数百人の受験者たちがいたけど、やっぱりアル兄らしき人は見つからなかった。
    「しっかりしろよ、メリッサ」
     クロが俺の頭をぽんと叩いた。
    「ここに入学さえしちまえば、こっちのもんなんだよ。後は、なんとでもなる」
    そうだ!
    俺は、はっと顔をあげた。
    しっかりしないと!
    とにかく学園の生徒にさえなれば、なんとでもできる。
    俺とクロは、どうやら別々のグループのようだった。
    俺は、クロの背中を見送ってから、自分の試験グループのもとへと向かった。
    試験の内容は、50メートルほと先にある標的を魔法で打つというものだ。
    たぶん、俺のグループの連中は、筆記試験の上位だった奴等だろう。
   チャラそうな金髪碧眼の兄ちゃん、銀髪に青い目の美少女、なんか地味な黒髪眼鏡君に
赤毛に赤目の小柄な女の子、そして、俺。
    試験管は、淡い金髪の髪をポニーテールにしている背の高い綺麗なお姉さんだった。
    「私は、アグリー・グルート。錬金術の教官だ。今回の諸君らの実技試験の担当教官をつとめることになっている。よろしく頼む」
    そのとき、遠くで歓声があがった。
   ちらっとそっちを見るとクロが的を完全に破壊したらしく、周囲の連中にちやほやされているのが見えた。
      さすが、クロ。
    「よそ見をするな!ネイジア・メリッサ・フォン・デルム・ガーランド!」
    「は、はいぃっ!」
     突然名を呼ばれて俺は、変な声を出してしまった。
    俺は、コホン、と咳をしてから前を向いてその場に集中した。
    まずは、この試験に合格しなくては。
    俺は、教官の方へと進み出た。
   教官は、鋭い目付きで俺を睨み付けた。
   こえぇっ!
   「お前がガーランド、か?」
    「はい!」
    俺にグルート教官は、遠くの的を指して言った。
    「あの的に当たれば合格、だ。使う魔法の種類、属性は自由だ」
    「わかりました」
    楽勝だな。
    俺は、的を狙うと魔法を発動させた。
   同時に5つの魔方陣を起動し、それで的の中央を射抜いた。
    的の中央に小さな穴が1つだけ残ったのを見て、周囲はざわめいた。
    「すごい!的に命中させた!」
     「しかも、無詠唱で?」
     いや。
    俺は、周囲のざわめきに違和感を覚えていた。
   そんな大したことじゃねぇし。
   
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