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6 魔法学園に入学しました。

6-2 進学を認めてもらいました。

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6ー2    進学を認めてもらいました。

   アルトラル王城は、切り立った岩山の上に建った城だった。
    青い空に白く浮かび上がったその姿は、息を飲むほどに美しかった。
    王城の中へと入っていた俺たちは、竜車から降りてルーラに導かれて城の奥へと歩き出した。
    城の奥?
   ええっ?
   俺たちは、城内の奥にある庭へと歩いていった。
   というか。
  畑?
   広大な畑、だよね?
   畑の中には、人影も僅かしかなく、その内の1人、スカートをまくりあげて畑にかがみ込んで作業しているおばちゃんの側にいくとルーラが言った。
     「メリッサ様を、いや、ネイジア姫をお連れしました」
     その一面の白い雪に包まれた世界に立つ白髪の農婦が俺たちの方へと顔をあげた。
   切り立った崖の横にそびえ立つこの城の主は、なんというか、その、田舎のおばちゃんみたいな丸い顔をした小柄な女性だった。
    彼女は、口許を綻ばせて俺を見つめた。
   「そう、あなたがネイジアなのね」
   そう言うと彼女は、俺に手招きした。
   「いらっしゃい、ネイジア。私にもっとよく顔を見せて頂戴」
    俺は、凍りついた畑の中へと足を踏み込むと、ゆっくりとその人に近づいた。
   その人は、俺をじっと見つめると、俺の方へと土で汚れたシワのある手を伸ばしてきた。
    「ああ・・」
    そっと触れるその手は、じきに堪えきれずに、俺を抱き寄せた。
    「ネイジア・・よく、無事で・・」
    俺は、俺を抱いて涙しているその人になんだか、不思議な気持ちになっていた。
   だけど。
   なんだろうか、この懐かしさ。
   この人が俺の本当の血族だと思うと、なんだかわからないけど体の奥から暖かな感情が沸き上がってきて、俺は、いつしかその人を抱き締めていた。
    「ばあちゃん・・」
     こうして俺は、本当の家族のもとへと戻されたわけだった。
   だが、父は、病弱だったらしくすでになく、母は、訳あって会うことができないのだと、ばあちゃんは、俺に語った。
     俺たちは、この世界に二人っきりの家族だった。
   それから、俺たちは、失われた時間を取り戻そうとするかのように一緒に暮らし出した。
     お互いには、もう、お互いしか存在しないのだ。
   特に、ばあちゃんには、俺以外に心の拠り所はなかった。
   だから、俺がイーゼル王国の王都にある魔法学園に行きたいといったときのばあちゃんの落胆ぶりは半端なかった。
    だけど、俺は、根気よくばあちゃんを説得した。
   春、夏、それに冬の休暇には、必ずばあちゃんのもとに帰ってくること。
   そして、毎日、手紙を書くことを条件に、ばあちゃんは、俺の進学を認めてくれた。
   
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