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4 賢者の石の宿主は、賢者なんですか?

4-4 賢者の石

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                    4ー4    賢者の石

    「お前には、この世界がこれからどんな進化の道を辿るのか、わかるのか?」
   男が訊ねたので、俺は、答えた。
   「たぶんだけど、やがて恐竜たちは、滅ぶ。そして、哺乳類・・つまり人類が、俺たちみたいな人間たちが生まれてくる」
    「なるほど」
     その男は、にっこりと微笑みを浮かべた。
   「ああ、残念だなぁ。もっともっと、この世界を見ていられたらよかったのに」
   「今までだって、見てきたんじゃねぇの?」
   俺は、きいた。
   男は、寂しげに微笑んだ。
   「ああ、長い長い時間、この子達を見守ってきた。だけど、もう、私は去らねばならない」
   「去るって・・どこにだよ?」
    俺の問いかけに、男は、答えることはなかった。
   彼は、ただ黙って天を指差した。
   「なんだよ、それ?」
    俺は、半笑いできいた。
   「あの世にでも行くのかよ?」
    「ああ」
   その男は答えた。
    「私は、古いエルフの血を引く者だ。長い長い時を生きてきた。だが、誰もが地へと返るときがくる。だが、ただ1つだけ心残りがあった」
    「なんだよ?」
     「この力の源である物を誰かに引き継がねばならないのだ」
     男は、そう言うと体の中へと手を差し込んだ。
   そして、そこから小さな青く輝く石を取り出して俺へと差し出した。
   「どうか、これを受け取り私を解放して欲しい」
    はい?
    俺は、意味がわからず目をパチクリしていた。
   彼は、笑った。
  「これは、危険だが決して悪いものではない。かつて、この島に生きた古いエルフの血族の者たちが造り出した魔導具『賢者の石』だ。これを手に入れたものは、どんな願いでも叶えることができる」
    「どんな願いでも?」
    「ああ」
    男は、頷いた。
    「こうして新しい世界を創り、死の島で生き延びることもできるし、世界を滅ぼす魔王となることもできる」
    「なんで、そんなものを俺に?」
    俺が聞くと、男は、笑った。
   「お前は、あの空船がくる海岸でただ1人、他の者と争うことなくこの私のもとを訪れた。お前は、この石の宿主となる資格を持つ者だ」
    ええっ?
   そんなことでいいわけ?
   というか、俺がここに来たわけじゃねぇし!
   俺をここに連れてきたのは、クロだろうが!
   「俺、こんなもの、受け取れないよ」
    俺は、男に言った。すると、男は、言った。
   「ならば、ここで死ぬがいいさ」
    はい?
   俺は、男のことをじっと見つめた。
   男は言った。
   「この死の島で生き延びるには、この石の力が必要だ。これを手に入れられない者は死ぬ」
    マジですか?
   彼は、俺に石を差し出した。
   「さあ、受けとるがいい。全ての始まりであり、終わりであるものを」
   俺は、躊躇したが、意を決してそれを受け取った。
   そのとたん、石から青い光が放たれ、俺は、眩しさに目を閉じた。
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