上 下
27 / 217
3 婚約破棄から始まるわくわくスローライフ?

3-11 反逆罪ですと?

しおりを挟む
         3ー11   反逆罪ですと?

   シュナイツが手を差し伸べたのは、俺の側にいた黒髪の美少女だった。
   あれ?
   俺は、呆然として2人が人々の輪の中心へと進み出ていくのを見つめていた。
    周囲の人々がざわつき始める。
   最後のワルツは、シュナイツと俺が踊るんじゃなかったの?
   「メリッサ!」
   「母様?」
     母様が俺の側に身を寄せてきて、ぎゅっと俺の手を握りしめた。
   「どういうことだ?これは」
    母様の側に立っていた父様が青ざめた表情で俺を見ていた。
   人々のざわめきの中、シュナイツとその黒髪の美姫は、ワルツを美しいステップで完璧に踊ると、手を取り合い、見つめあったまま国王の前に進み出た。
    シュナイツの父であるイーゼル王国国王  クロイツ2世は、笑顔で2人の横に立つと高らかに宣言した。
   「我が息子である第3王子  シュナイツ・アンドレア・クルセムは、隣国  プレゼリア王国の姫、アビゲイル・イゼリア・プレゼリア姫と近く結婚の儀を執り行うこととなった」
    ええっ?
   俺は、母様父様を見上げた。
   2人とも、真っ青だった。
   マジでか?
   っていうか、俺、あいつの婚約者じゃなかったの?
   「メリッサ・コンラッド!」
    名を呼ばれて、俺は、顔をあげた。
 黒髪に髭もじゃのシュナイツの父  クロイツ2世は、言った。
   「お前を断罪する!」
    はい?
   俺は、ハトマメ状態でイーゼル王国国王を見ていた。
   奴は、言った。
   「メリッサ・コンラッド、お前は、亜大陸からこの国を調査に来た亜人族のスパイであることが判明した。よって、国家反逆罪により投獄されることとなった」
    なんですと?
   俺は、何かの冗談かと思って、父様と母様を見た。
   2人は、真っ青を通り越して、血の気のひいた表情を浮かべて、呆然としていた。
   その間にも、白の警備兵たちが俺のことを取り囲み引き立てていこうと近づいてきた。
   父様は、叫んだ。
   「お待ちください!これは、何かの間違いです。この子は、まだ、10才です。とても、そんなことはあり得ない!」
    「これは、イーゼル王国の国王である私の決定だ。それに逆らうというのならコンラッドよ、お前たち一族も同罪とする」
   「なっ!」
    「父様」
    俺は、父様たちに言った。
   「こんなの、何かの間違えでしかない。心配しないで。きっと、すぐにじいちゃんが何とかしてくれるし」
   「メリッサ・・」
    「大丈夫」
    俺は、にっこりと父様、母様たちに向かって微笑みかけると、おとなしく、兵士たちに囲まれて部屋を出ていった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

慟哭の時

レクフル
ファンタジー
物心ついた時から、母と二人で旅をしていた。 各地を周り、何処に行くでもなく旅をする。 気づいたらそうだったし、何の疑問も持たなくて、ただ私は母と旅を続けていた。 しかし、母には旅をする理由があった。 そんな日々が続いたある日、母がいなくなった。 私は一人になったのだ。 誰にも触れられず、人と関わる事を避けて生きていた私が急に一人になって、どう生きていけばいいのか…… それから母を探す旅を始める。 誰にも求められず、触れられず、忘れ去られていき、それでも生きていく理由等あるのだろうか……? 私にあるのは異常な力だけ。 普通でいられるのなら、こんな力等無くていいのだ。 だから旅をする。 私を必要としてくれる存在であった母を探すために。 私を愛してくれる人を探すために……

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

処理中です...