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3 婚約破棄から始まるわくわくスローライフ?

3-3 夢

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                 3ー3    夢

   それから、父様は、倒れていたクルスを助け起こした。クルスは、気を失っていただけで無事だった。
   父様たちは、馬車を調べていたが、馬車は、車輪が外れていて修理しなくては動きそうになかった。
   「ここだと、近くに村があります」
   父様とクルスは、村まで馬車を借りに行くことになり、俺とアル兄と母様とクロはここに残ることになった。
   「さっきの連中は、もうこないとは思うが、気を抜くんじゃないぞ、メリッサ!」
   俺は、頷いた。
   父様とクルスが村へと馬で駆け出していくのを俺たちは、見送った。
   俺は、溜め息をついた。
   なんだったんだ?
   「エルフ・・か・・」
   俺は、辺りを見回りながら呟いていた。
   俺は、捨て子だった。
   どこの誰がほんとの親なのかも知らない。
   「今さら、なんだってんだよ・・」
    「気になるのか?メリッサ」
    クロが背後から俺の髪を一房掴んで握りしめた。
    「気になるわけないだろ!」
    俺は、クロに言ったが、これは、嘘だ。
   気にならないわけがない。
    クロは、俺の髪に口づけして言った。
   「案じるな。何があろうとも俺がお前を守る」
   「クロ・・」
   俺たちは、しばらく見つめあっていた。
   でも、すぐに、俺は、クロの手から髪を引き抜いて言った。
   「何、えらっそうなこと、言ってるんだ。大事なときに体調不良だったくせに」
   「それは・・」
   俺は、アル兄の方へと走り去った。
   俺は、馬車の近くにあった倒木に腰かけているアル兄の隣に座った。
   俺たちは、2人並んで空を見上げていた。
   空には、巨大な空船が飛んでいた。
   「どこに行くのかな、あの船は」
    「さあ、この方向なら、きっと、南国の、たぶん、アーランダか、グリナンデまで行くんじゃないかな」
   アル兄が答えた。
   「何、考えてる?メリッサ」
    「何も」
    「嘘つけ。お前のことだから、世界中のいろんな国に行ってみたいとか思ってるんだろ?」
   アル兄が微笑んだ。
   俺は、にっと笑った。
   「まあ、ね」
    「行けたらいいな、メル」
    アル兄が言ったので、俺は、空船を見つめて呟いた。
    「行くさ。いつか、きっと」
    
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