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10 すべてが愛でしょ?

10ー6 数が増えてる!

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 10ー6 数が増えてる!

 イグルトが僕たちに話した。
 「魔王様は、この世界の魔素の結晶体。それを滅せば魔素は、際限なくこの世界に降り注ぎ世界は、瘴気の渦の中へと飲み込まれて滅ぶことになるぞ」
 マジですか?
 僕は、壁際で動かなくなっている黒猫の方を見た。
  そこには、子猫サイズに小さく縮こまった黒猫が横たわっていた。
 というか。
 子猫じゃん!
 どういうこと?
 僕は、よろよろと僕に駆け寄ってきて僕の膝の上によじ登ってきた黒猫の首もとを掴んでぶらんとぶら下げた。
 黒猫は、情けなく鳴き声をあげる。
 いいきみだな!
 じゃなくって。
 僕は、イグルトの方を見た。
 「これ、魔王なの?」
 「ぶ、無礼者が!魔王様から手を離せ!」
 イグルトが叫んだ。
 僕は、膝の上に黒猫を降ろしてやった。
 黒猫は、僕の膝の上でごろんと横になると毛繕いを始めた。
 くつろいでるぅ!
 僕は、胸がドキドキと高鳴るのを感じていた。
 なんか、これ。
 かわいい!
 「キーン、これ」
 「ダメですよ!ラムダ様。家では飼えませんからね!」

 それから3ヶ月。
 僕たちは、あの邪神ヴァルナムの聖域にいた。
 美しい白い礼服に身を包んだ僕は、キーンが用意してくれた椅子に腰かけていた。
 もう、少し腹の辺りがふくよかになってきている僕の体を気遣ってのことだ。
 僕の前には、それぞれ礼服をまとった男たちが集っていた。
 そう。
 男たち、だ。
 一人目は、ロイ。
 二人目は、ディダル。
 三人目は、ヤマト。
 四人目、というか四匹目は、黒猫のアノマ。
 そして、なんと五人目は、なぜかあの魔人イグルトだった。
 なんで?
 僕は、首を傾げた。
 あの後。
 邪神ヴァルナムの神官であるエリアンを挟んでみんなで話し合った結果がこれだ。
 どうしても僕と結婚したいという魔王にイグルトが自分も僕と結婚したいとかいいだしたのだ。
 僕は、というと。
 もう、どうにでもなれって感じだった。
 魔王は、かわいい黒猫だったし、イグルトも話してみればなかなかいい奴だった。
 でも。
 僕は、心の中で叫んでいた。
 なんで、僕の夫が五人もいるの?
 というか。
 どんどん数が増えていってるし!
 
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