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9 魔王と聖者と浄化の旅(3)
9ー8 願い
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9ー8 願い
イグルトがどんなに威圧してもヤマトは、僕を離そうとはしなかった。
イグルトは、イラつきを隠すことはなかった。
「そんなことはしたくはないが、我々はあなたを殺してその者を奪うこともできるんだからな」
ヤマトは、それでも僕を離しはしなかった。
「すまなかった、ラムダ。お前を愛するあまり酷いことをしてしまった。私を許してくれ」
ヤマトは、僕を見つめてそう囁いた。
僕は、ふるふると首を振った。
「もう、いいんだ、ヤマト」
「お前たち、もう今生の別れはすんだだろう。聖者殿、もう、これ以上は待てん。はやくそれを渡せ!」
「嫌だ!」
僕を抱いたままイグルトに挑もうとしているヤマトに僕は、胸が苦しくなった。
こんなにも僕のことを思ってくれている。
ヤマトは、やっぱり昔のままだ。
僕は、とすん、とヤマトの肩に額をつけるとくすくすと笑ってしまう。
「ラムダ?」
「ヤマト、僕、魔王のもとへ行くよ」
僕は、ヤマトに告げた。
ヤマトが僕を守ろうとするように僕だってヤマトを守りたいんだ。
ヤマトは、僕を驚いたような表情を浮かべて見ていたが、すぐに反対した。
「ダメだ!なんてことを言うんだ、ラムダ。行けば何をされるか、わかっているのか?」
僕は、頷いた。
きっと、魔力の使用によって発情する僕のことを魔族たちは、陵辱の限りを尽くして利用するのにちがいない。
だけど。
僕は、ヤマトに向かって微笑んだ。
「ヤマトには、この水源地を浄化するという重要な役目があるじゃないか」
僕は、ヤマトの胸元へとそっと触れた。
「たくさんの人々がヤマトの力を必要としているんだよ?」
「しかし」
「僕なら大丈夫」
僕は、静かにヤマトから体を離した。
心が痛くなるぐらい辛いけど僕は、笑顔でヤマトを見上げた。
「だいじょうぶ、だから」
僕は、どんな目にあわされてもヤマトを守りたかった。
この浄化の旅からヤマトが無事に家へと帰ることができるように。
そして、ヤマトが幸せに暮らしていけるように。
僕は、それだけを願っている。
イグルトがどんなに威圧してもヤマトは、僕を離そうとはしなかった。
イグルトは、イラつきを隠すことはなかった。
「そんなことはしたくはないが、我々はあなたを殺してその者を奪うこともできるんだからな」
ヤマトは、それでも僕を離しはしなかった。
「すまなかった、ラムダ。お前を愛するあまり酷いことをしてしまった。私を許してくれ」
ヤマトは、僕を見つめてそう囁いた。
僕は、ふるふると首を振った。
「もう、いいんだ、ヤマト」
「お前たち、もう今生の別れはすんだだろう。聖者殿、もう、これ以上は待てん。はやくそれを渡せ!」
「嫌だ!」
僕を抱いたままイグルトに挑もうとしているヤマトに僕は、胸が苦しくなった。
こんなにも僕のことを思ってくれている。
ヤマトは、やっぱり昔のままだ。
僕は、とすん、とヤマトの肩に額をつけるとくすくすと笑ってしまう。
「ラムダ?」
「ヤマト、僕、魔王のもとへ行くよ」
僕は、ヤマトに告げた。
ヤマトが僕を守ろうとするように僕だってヤマトを守りたいんだ。
ヤマトは、僕を驚いたような表情を浮かべて見ていたが、すぐに反対した。
「ダメだ!なんてことを言うんだ、ラムダ。行けば何をされるか、わかっているのか?」
僕は、頷いた。
きっと、魔力の使用によって発情する僕のことを魔族たちは、陵辱の限りを尽くして利用するのにちがいない。
だけど。
僕は、ヤマトに向かって微笑んだ。
「ヤマトには、この水源地を浄化するという重要な役目があるじゃないか」
僕は、ヤマトの胸元へとそっと触れた。
「たくさんの人々がヤマトの力を必要としているんだよ?」
「しかし」
「僕なら大丈夫」
僕は、静かにヤマトから体を離した。
心が痛くなるぐらい辛いけど僕は、笑顔でヤマトを見上げた。
「だいじょうぶ、だから」
僕は、どんな目にあわされてもヤマトを守りたかった。
この浄化の旅からヤマトが無事に家へと帰ることができるように。
そして、ヤマトが幸せに暮らしていけるように。
僕は、それだけを願っている。
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