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7 魔王と聖者と浄化の旅
7ー3 魔物の街
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7ー3 魔物の街
僕らは、ルーナの村の人々に見送られて出発した。
ヤマトたちに追いつくためには、急がなくてはいけない。
僕らの乗った地竜は、森の中をひた走った。
魔物の森を抜けた先に水源地の湖はある。
そして、その湖の対岸には魔王の城があるという魔都がある。
グレーシアルの湖は、巨大な湖だ。
いくらヤマトでも浄化するには数日を要する筈だ。
僕らは、数時間森を駆け続けた。
ヤマトたちは、ターナンシェ王国から乗ってきたという馬で移動している筈だが、森を抜けてもまだ姿はとらえられなかった。
僕は、焦っていた。
もしかしたらもう、魔王軍に捕らえられてしまったのかもしれない。
ヤマト。
僕は、ロイの背にしがみついたまま祈っていた。
どうか、ヤマトが無事でいますように!
日が沈む頃には、僕らは、湖の街にたどり着いていた。
そこは、高い塀に囲まれた要塞都市だった。
先についていたルドさんが僕たちに合流する。
「どうやら聖者一行は、あの湖のほとりの街に入ったようです」
その街は、イデという街だった。
ルドさんの報告をきいたロイは、頷いた。
「我々もイデの街へ入ろう」
といってもここは、魔王国だ。
人間の僕たちがうろついていたらすぐに目について捕らえられてしまう。
僕らは、国を出るときに用意してきた変化の術のこめられた魔石のついたブレスレットをつけるとそれぞれ魔物に変化した。
ロイは、大きな金色の耳と立派なふさふさの尻尾がはえた狼の獣人の姿になった。
騎士団の人々はオークに、キーンとソドルは猫の獣人に、僕は長い白い耳をはやしたウサギの獣人に変化した。
「ウサギか。魔物になってもお前は、かわいいな」
ロイがそっと僕に囁いたので、僕は、顔が熱くなってうつむいた。
僕たちは、地竜から降りると要塞の街イデの入り口へと向かった。
門の前にたっていた門番が僕たちに声をかけてきた。
「お前たち!なんの用でこのイデの街にきた?」
「我々は、旅の商人でございます」
ソドルが門番に答えた。
「こちらは、私の妻で、あちらの兎人は、妻のメイドでございます。後の者たちは護衛の者たちでございます」
「そうか」
門番は、興味なさげに頷いた。
「通行許可証は?」
「許可証は・・・」
ソドルがちらっとロイの方を見た。
僕は、すぐにソドルと門番の間に割り込んだ。
「これが、許可証です」
僕は、一枚の紙切れを差し出すとその門番の目を見つめ、幻術の魔法を発動した。
術にかかった門番は、こくりと頷くと僕らを通してくれた。
無事に魔物の街に入り込んだが、僕は、魔法を使ったせいで状態異常を起こしていた。
足がふらつく。
体が火照って、僕は、熱い吐息を漏らした。
「すぐに宿を探しましょう」
ソドルが言って、キーンをつれて通りへと消えていった。
残された僕たちは、とりあえず近くの酒場へと向かった。
僕らは、ルーナの村の人々に見送られて出発した。
ヤマトたちに追いつくためには、急がなくてはいけない。
僕らの乗った地竜は、森の中をひた走った。
魔物の森を抜けた先に水源地の湖はある。
そして、その湖の対岸には魔王の城があるという魔都がある。
グレーシアルの湖は、巨大な湖だ。
いくらヤマトでも浄化するには数日を要する筈だ。
僕らは、数時間森を駆け続けた。
ヤマトたちは、ターナンシェ王国から乗ってきたという馬で移動している筈だが、森を抜けてもまだ姿はとらえられなかった。
僕は、焦っていた。
もしかしたらもう、魔王軍に捕らえられてしまったのかもしれない。
ヤマト。
僕は、ロイの背にしがみついたまま祈っていた。
どうか、ヤマトが無事でいますように!
日が沈む頃には、僕らは、湖の街にたどり着いていた。
そこは、高い塀に囲まれた要塞都市だった。
先についていたルドさんが僕たちに合流する。
「どうやら聖者一行は、あの湖のほとりの街に入ったようです」
その街は、イデという街だった。
ルドさんの報告をきいたロイは、頷いた。
「我々もイデの街へ入ろう」
といってもここは、魔王国だ。
人間の僕たちがうろついていたらすぐに目について捕らえられてしまう。
僕らは、国を出るときに用意してきた変化の術のこめられた魔石のついたブレスレットをつけるとそれぞれ魔物に変化した。
ロイは、大きな金色の耳と立派なふさふさの尻尾がはえた狼の獣人の姿になった。
騎士団の人々はオークに、キーンとソドルは猫の獣人に、僕は長い白い耳をはやしたウサギの獣人に変化した。
「ウサギか。魔物になってもお前は、かわいいな」
ロイがそっと僕に囁いたので、僕は、顔が熱くなってうつむいた。
僕たちは、地竜から降りると要塞の街イデの入り口へと向かった。
門の前にたっていた門番が僕たちに声をかけてきた。
「お前たち!なんの用でこのイデの街にきた?」
「我々は、旅の商人でございます」
ソドルが門番に答えた。
「こちらは、私の妻で、あちらの兎人は、妻のメイドでございます。後の者たちは護衛の者たちでございます」
「そうか」
門番は、興味なさげに頷いた。
「通行許可証は?」
「許可証は・・・」
ソドルがちらっとロイの方を見た。
僕は、すぐにソドルと門番の間に割り込んだ。
「これが、許可証です」
僕は、一枚の紙切れを差し出すとその門番の目を見つめ、幻術の魔法を発動した。
術にかかった門番は、こくりと頷くと僕らを通してくれた。
無事に魔物の街に入り込んだが、僕は、魔法を使ったせいで状態異常を起こしていた。
足がふらつく。
体が火照って、僕は、熱い吐息を漏らした。
「すぐに宿を探しましょう」
ソドルが言って、キーンをつれて通りへと消えていった。
残された僕たちは、とりあえず近くの酒場へと向かった。
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