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5 竜人族の里
5ー10 乱入者ですか?
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5ー10 乱入者ですか?
何?
雨にうたれた子犬みたいな目で僕を見るのはやめてくれ!
僕は、うるうるした目で見てくるディダルにこれ以上抵抗できなかった。
仕方なく膝の上に座ったままで僕は、老婆に訊ねた。
「僕の力を借りたいって、何?お世話になったし僕にできることなら何でも相談にのるよ?」
「そうでございますか!」
老婆がぱぁっと顔を輝かせた。
「では、さっそくですが我々とあなた様の絆を深めるためにもディダルを婿にもらってやってくださいませ」
はい?
僕は、ポカンとしてしまった。
なんでそうなるの?
僕は、ちろりとディダルを盗み見た。
ディダルは、じぃっと僕のことを見つめている。
だから!
そんな目で僕を見ないでくれよ!
僕は、何とかして誰も傷つけることなくこの話をお断りすることはできないものかと考えていた。
ふと、左手の指輪が目に入った。
そうだ!
その手があったか!
僕は、にやりと笑った。
「ありがたいお話ですが、実は、僕はつい最近、この辺りの領主であるメイソン辺境伯と婚姻をしたばかりなので」
「ほう」
老婆が目を細めた。
ヤバイ?
老婆は、ふん、と鼻を鳴らした。
「あの若造とですかな?」
あの?
よくわからないけど僕は、頷いた。
「そうです。だから、ディダルさんとは結婚はできないんで」
「かまいません」
老婆がにやりと笑った。
「あなた様ほどのお方なら一人の男に縛られるべきではございません。どうか、第二の夫にディダルをお選びくださいませ」
はいぃっ?
僕は、動揺が隠せなかった。
確かにこの国ではそういうのわりと自由だけど、僕は、嫌だし!
「で、でも、そういうの、ディダルさんが嫌がるんじゃ?」
「俺は、別にかまわないぞ、ラムダ」
ディダルが間髪いれずに言ったので僕は、もう、あわあわしてしまう。
「でも、実は、僕、今、妊娠中で」
「かまわない」
ディダルが言うので僕は、涙目になっていく。
「でも、子供の父親は、夫であるメイソン辺境伯ではないんですよ?」
「では、誰の子だ?」
ディダルにきかれて僕は、やけになった。
「それは、光の女神の聖者で元友人のヤマトという男に、無理やり・・・」
「なるほど」
ディダルが頷いた。
「大丈夫だ。お前にどんな過去があろうとも俺は、お前を愛する」
「でも!」
僕は続けた。
「子供はもう一人いて」
「何?」
ディダルが訊ねた。
「それもその聖者の?」
「それが」
僕は、小声でつぶやいた。
「あの・・・邪神、の」
「それは、私がお答えしましょう!」
突然、天幕入ってきた白いフードを被った人物が割り込んできた。
何?
雨にうたれた子犬みたいな目で僕を見るのはやめてくれ!
僕は、うるうるした目で見てくるディダルにこれ以上抵抗できなかった。
仕方なく膝の上に座ったままで僕は、老婆に訊ねた。
「僕の力を借りたいって、何?お世話になったし僕にできることなら何でも相談にのるよ?」
「そうでございますか!」
老婆がぱぁっと顔を輝かせた。
「では、さっそくですが我々とあなた様の絆を深めるためにもディダルを婿にもらってやってくださいませ」
はい?
僕は、ポカンとしてしまった。
なんでそうなるの?
僕は、ちろりとディダルを盗み見た。
ディダルは、じぃっと僕のことを見つめている。
だから!
そんな目で僕を見ないでくれよ!
僕は、何とかして誰も傷つけることなくこの話をお断りすることはできないものかと考えていた。
ふと、左手の指輪が目に入った。
そうだ!
その手があったか!
僕は、にやりと笑った。
「ありがたいお話ですが、実は、僕はつい最近、この辺りの領主であるメイソン辺境伯と婚姻をしたばかりなので」
「ほう」
老婆が目を細めた。
ヤバイ?
老婆は、ふん、と鼻を鳴らした。
「あの若造とですかな?」
あの?
よくわからないけど僕は、頷いた。
「そうです。だから、ディダルさんとは結婚はできないんで」
「かまいません」
老婆がにやりと笑った。
「あなた様ほどのお方なら一人の男に縛られるべきではございません。どうか、第二の夫にディダルをお選びくださいませ」
はいぃっ?
僕は、動揺が隠せなかった。
確かにこの国ではそういうのわりと自由だけど、僕は、嫌だし!
「で、でも、そういうの、ディダルさんが嫌がるんじゃ?」
「俺は、別にかまわないぞ、ラムダ」
ディダルが間髪いれずに言ったので僕は、もう、あわあわしてしまう。
「でも、実は、僕、今、妊娠中で」
「かまわない」
ディダルが言うので僕は、涙目になっていく。
「でも、子供の父親は、夫であるメイソン辺境伯ではないんですよ?」
「では、誰の子だ?」
ディダルにきかれて僕は、やけになった。
「それは、光の女神の聖者で元友人のヤマトという男に、無理やり・・・」
「なるほど」
ディダルが頷いた。
「大丈夫だ。お前にどんな過去があろうとも俺は、お前を愛する」
「でも!」
僕は続けた。
「子供はもう一人いて」
「何?」
ディダルが訊ねた。
「それもその聖者の?」
「それが」
僕は、小声でつぶやいた。
「あの・・・邪神、の」
「それは、私がお答えしましょう!」
突然、天幕入ってきた白いフードを被った人物が割り込んできた。
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