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1ー6 山賊襲来!

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 1ー6 山賊襲来!

 「これは、これは。冴えない金持ちのボンボンだとばかり思っていたが、なんとまあ、アルビノのご令息とはな」
 僕は、馬車が揺れた衝撃で魔道具のメガネが外れてしまったのに気づいた。
 しまった!
 「このお方をランダール公爵のご令息としっての所業か?」
 キーンが腰につけていた守り刀を抜いて僕をかばうようにして前に出た。
 「この無礼者どもが!」
 「へっ!」
 男たちは、にやにやと薄笑いを浮かべて僕たちを見つめていた。
 「こういう生きのいいガキは、嫌いじゃねぇな。たっぷりと可愛がってから二人ともまとめて売り飛ばしてやるぜ」
 「くっ!」
 切りかかったキーンの腕をつかんで馬車のそとへと引きずり出すと男たちは、キーンのことを地面に押さえつけた。
 「キーン!」
 駆け寄ろうとした僕の腕を捕まえた男がにやっと嫌らしい笑いを浮かべた。
 「ぼっちゃまの相手は、俺だ!」
 「くぅっ!離せ!」
 僕は、なんとか男たちから逃れようと手足を振り回したが、無駄だった。
 僕は、男たちに囲まれているキーンを横目で見た。
 キーンは、自分の危機にもかまわず、叫んでいた。
 「ラムダ様!ラムダ様に触れるな!この下臈どもが!」
 「ああ?」
 キーンのことを捕らえている男がキーンの体を暴きながら笑った。
 「どっぢからでもかまわねぇが、まずは、このガキをいただくか?」
 男たちが舌なめずりをした。
 キーンが!
 僕は、キーンの方へと手を伸ばした。
 キーンは、涙目になりながらも僕に向かって微笑んだ。
 「私は、平気です。どうか、ラムダ様、お逃げください!ラムダ様だけなら、逃げられるはずです!」
 「キーン!」
 「はっ!美しい主従愛だな!だが、どこまで堪えられるかな?」
 男たちがキーンの裸の体に手を沿わしているのを見て、僕は思わず魔法を使っていた。
 「マジックバレット!」
 魔法の弾丸がキーンを陵辱しようとしている男たちを貫いた。
 「何?こいつ、魔法が使えるのか?」
 キーンに駆け寄る僕を見下ろして岩のような大男がゆっくりと近づいてきた。
 僕は、次の魔法を使おうとして咳き込んだ。
 「ごほ、ごほっ!」
 「ラムダ様!」
 
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